装飾音の種類 — トリル・モルデント・ターン・前打音
公開 2026-10-13
旋律の音に付け加えて飾りとする音を、装飾音といいます。ここでは、装飾音とは何か、そしてトリル・モルデント・ターン・前打音・後打音がそれぞれどのような音型を指すのかを、事典の記述に沿ってまとめます。
装飾音とは
デジタル大辞泉は、装飾音を、音楽で、旋律などに趣を添えたりするために、飾りとして付加された音とし、特殊な記号や小音符によって示すと説明しています。前打音・後打音・ターン・トリルなどがその例です。世界大百科事典(改訂新版)は、旋律を構成する特定の音に、表現力の充実、アクセント付与などの目的で付加された音型をいうとしています。同じ事典は、装飾音は一般には記号や小さい音符で示される特定の音型を意味するが、本来は、そのような定型化したもの以外も含む、より広い現象であると述べています。
トリル
デジタル大辞泉は、トリルを、装飾音の一つで、ある音とその2度上または下の音を急速に反復させるものとしています。顫音(せんおん)ともいいます。日本国語大辞典は、主要音と、全音または半音高い音を交互にふるわせるように速やかに演奏するとし、記号はtrと説明しています。ブリタニカ国際大百科事典は、特に指示のないかぎり、主音符と2度上の音を急速に連続して往復する奏法とし、その回数は曲想やテンポにより異なり、奏者の判断にゆだねられることが多いと述べています。このように、往復する相手の音の説明は、資料によって少し異なります。
モルデント
デジタル大辞泉は、モルデントを、装飾音の一つで、主要音から下2度の音を経てすぐ主要音へ戻るものとしています。ブリタニカ国際大百科事典は、もとの音とその下または上の音を急速に1〜2回往復するものとし、もとの音とその2度下の音を往復する場合をローアー・モルデント、または単にモルデント、もとの音とその2度上の音を往復する場合をアッパー・モルデント、またはプラルトリラーと呼ぶと説明しています。日本国語大辞典も、上方のものをプラルトリラーというとしています。
ターン
デジタル大辞泉は、音楽でのターンを、装飾音の一つで、主要音の上の音から始まって、主要音とその下の音を経て主要音に帰るものとしています。ブリタニカ国際大百科事典も、ある音を中心に転回する装飾音で、原則として、主要符の上隣接音から始まり、主要符とその下隣接音を経て主要符に戻る、と説明しています。同じ事典によると、ターンの記号が音符の上に記される場合と、2つの音の間に記される場合があり、主音符の下隣接音から始まるものは転回ターンといい、逆向きの記号で示されます。
前打音と後打音
デジタル大辞泉は、前打音を、装飾音の一つで、ある音符に付随し、それに先立って短く奏される音とし、倚音(いおん)ともいうと説明しています。日本国語大辞典は、旋律の主音符の前につける音で、小音符で示すとしています。ブリタニカ国際大百科事典によると、バロック時代には、主要音の前に特定の記号を用いるほか、8分音符を小さく書いて示すのが一般的でした。前打音の原語であるイタリア語のアッポジャトゥーラについて、デジタル大辞泉は、装飾される音の直前に付けられ、その音価は場合によって一定しないと述べています。一方、後打音は、デジタル大辞泉によると、ある音符のあと、またはトリルの末尾で短く奏される装飾音です。日本国語大辞典は、ある音の末尾につけられ、次の音に入る直前にすばやく演奏される一個または二個以上の短い音で、ナーハシュラークともいうとしています。