🔍 音楽用語さくいん
1116語を掲載中
音楽用語をどう引くか
楽譜に書かれた言葉は、ほとんどが「どう演奏するか」の指示です。ただし辞書的な訳語をそのまま当てはめても、演奏は良くなりません。訳語の裏にある「何を求められているのか」を掴むための読み方をまとめます。
訳語ではなく、要求されている動作を読む
Dolce を「甘く」と覚えても、楽器の前で何をすればいいかは分かりません。dolce はイタリア語で砂糖菓子や果物の甘さを指す日常語で、角が立っていない状態を意味します。つまり求められているのは感情ではなく、アタックを尖らせないという具体的な操作です。多くの表情用語はこのように、感情の名前ではなく「音の触り方」を指しています。訳語を覚えたあと、もう一段だけ「では手や息をどう変えるのか」に翻訳しなおすと、指示が使えるようになります。
同じ訳語でも、性格が違う語がある
Adagio・Lento・Largo はどれも「遅く」と訳されますが、指しているものは別です。Lento は速度そのもの、Largo は幅の広さ、Adagio は「くつろいで(ad agio)」という状態を指します。Ritardando と Rallentando も同じ「だんだん遅く」ですが、前者は意図的にブレーキをかける感覚、後者は緊張がゆるんで自然に速度が落ちる感覚です。訳語が同じ用語が並んでいたら、それは語源をたどるべきサインだと考えてください。
言語で当たりをつける
楽譜の指示語はイタリア語が基本ですが、ドイツ語・フランス語・英語も使われます。作曲家が母語で書いた場合、その言語の日常的なニュアンスがそのまま指示になっていることが多く、シューマンの innig(内奥の、親密な)やドビュッシーの en dehors(外へ=浮き立たせて)はその典型です。逆に、イタリア語以外で書かれているのに標準的なイタリア語用語と同じ意味の場合(Langsam=Lento、Schnell=Presto など)は、単に母語で書いただけということもあります。用語ページには言語を併記しているので、当たりをつける手がかりにしてください。
語形から意味を推測する
イタリア語の指示語は、語形にかなり規則性があります。-issimo は最上級(forte → fortissimo)、-etto や -ino は縮小辞で「やや」の意味(largo → larghetto、andante → andantino)、-ando / -endo は現在分詞で「〜しながら、だんだん〜」を表します(crescendo、morendo)。con + 名詞は「〜をもって」(con brio=生気をもって)、senza + 名詞は「〜なしで」(senza sordino=弱音器なしで)。この4つを知っているだけで、初めて見る語の半分くらいは見当がつきます。
カテゴリから探す
強弱40語
強弱記号は「音量つまみ」ではない
p や f は音量の絶対値ではありません。同じ f でも、独奏曲と管弦楽曲、バロックとマーラーではまったく別の音量です。強弱記号が実際に指定しているのは、音量そのものよりも「音の質」と「前後との関係」です。…
速度101語
速度用語は「速さ」より「性格」を指している
Allegro を「速く」とだけ覚えると、たいてい演奏は上滑りします。イタリア語の allegro は本来「陽気な、快活な」という意味の形容詞で、速度はその性格に付随する結果です。速度用語の多くは、テンポの数値ではなく音楽の気分を指定してい…
奏法223語
同じ記号でも、楽器が変われば操作が変わる
奏法の指示は、楽器の構造と直結しています。スタッカートひとつ取っても、弓を止めるのか、舌で切るのか、指を離すのかは楽器ごとに違います。訳語ではなく「自分の楽器では何をすることになるのか」に置き換えて読む必要があります。…
表情315語
表情用語は感情の名前ではなく、触り方の指定
このカテゴリの用語は数が多く、訳語だけ並べると似たものばかりに見えます。しかし語源をたどると、そのほとんどが日常生活の動作や状態を表すイタリア語で、感情そのものではなく「どう触れるか」を指していることが分かります。…
構成277語
楽譜のどこを、どの順で演奏するか
このカテゴリには、繰り返しや飛び先を指示する記号と、曲の部分の名前が含まれます。演奏の内容ではなく「進行の道順」を決めるものが中心で、読み違えると本番で事故になります。…
形式33語
形式が分かると、譜読みの手数が減る
形式は分析のための用語に見えますが、実際には練習の設計に直結します。どこが繰り返しで、どこが新しい素材かが分かれば、覚える量そのものが減るからです。…
理論88語
楽譜を読むために必要な最小限の理論
ここには音程・調・和音・記譜の約束事に関する用語が集まっています。理論そのものを目的にしなくても、譜読みの速度と暗譜の精度に直結する範囲があります。…
楽器39語
スコアの楽器名は言語で姿を変える
楽器名は、出版社と作曲家の母語によってイタリア語・ドイツ語・フランス語・英語のいずれかで書かれます。同じ楽器がまったく違う綴りで現れるため、スコアを開いたときに戸惑う原因になります。…