Affektenlehre
アフェクト論(情念論)
意味
音による感情の図式化
解説
バロック時代の理論。特定の音型や調性が特定の感情(喜び、悲しみ等)を表すとされ、客観的な表現を重視します。
音楽用語辞典 & チューナー・メトロノーム
アフェクト論(情念論)
音による感情の図式化
バロック時代の理論。特定の音型や調性が特定の感情(喜び、悲しみ等)を表すとされ、客観的な表現を重視します。
Affektenlehre(情念論)はドイツ語で、バロック時代に広まった、特定の音型や調性が特定の感情(アフェクト)を表すとする理論の総称。
情念論では、喜び・悲しみ・怒りといった感情はそれぞれ固有の音楽的な型(急速な上行音型、半音階的な下行、特定の調性など)と結びつくと考えられた。作曲家個人の主観的な表現というより、聴き手に共通して特定の感情を呼び起こすための、いわば客観的な語彙・記号の体系として音型が用いられた点が特徴。
情念論が1曲・1楽章を通じて単一の感情を描くことを基本とするのに対し、後の多感様式(Empfindsamer Stil)は同じ楽章の中でも感情が刻々と移ろうことを許容する。バロックから前古典派への様式変化は、この「単一の情念」から「揺れ動く感情」への移行としても説明される。
ヴァイオリン(独奏、声楽の伴奏)
特定の情念を音型に託す様式では、独奏楽器が声のように歌う旋律を、伴奏の刻みより一段感情を込めて弾くことで、歌詞が示す悲しみや嘆きを楽器の側からも支えます。
J.S.バッハ「マタイ受難曲」より アリア「憐れみたまえ、わが神よ」
ペテロがイエスを3度否んだ直後に歌われるアルトのアリアで、独奏ヴァイオリンが嘆きに満ちた旋律を重ねます。特定の感情を音型と楽器の選択によって描き出す、情念論の考え方をよく示す例として知られます。