🎵 おんがく手帳

音楽用語辞典 & チューナー・メトロノーム

← 辞典にもどる

優しさと愛情 — Con amore・Tenero・Affettuoso

tenero(テネロ)は「優しく、柔らかく」で、英語の tender と同じくラテン語 tener に由来します。teneramente は副詞形、con tenerezza は名詞 tenerezza を使った形です。

愛情を表す語

affettuoso(愛情を込めて)と con affetto は affetto(愛情)、con amore と amoroso は amore(愛)から来た語です。ドイツ語の innig(心の底から、親密に)は inne(内側に)から作られた語です。

愛撫するように

carezzevole・accarezzevole(愛撫するように)と carezzando(愛撫しながら)は、いずれも carezza(愛撫)を語根に持ち、指示内容に違いはありません。

♪

Con amoreコン・アモーレ

イタリア語

愛を込めて、熱心に

「愛をもって」。

Con amore は「愛をもって」。amore(愛)を明示した指示です。

amabile との向きの違い

amabile は「愛されるにふさわしい」で、音楽が好ましく感じられる状態を指します。con amore は演奏者が愛を注ぐ側であり、向きが逆です。同じ amare を語根に持ちながら、指示の主体が違います。

「愛」の対象

この語が何への愛を指すのかは明示されません。音楽そのものへの愛と読むこともでき、曲の内容が示す対象への愛と読むこともできます。楽譜が語っている以上のことは決まっていないため、その箇所の文脈から判断することになります。

混同しやすい用語

♪

Teneroテーネロ

イタリア語

優しく、愛情深く

ラテン語 tener(柔らかい)から。「優しく、柔らかく」。

Tenero は「優しく、柔らかく」。ラテン語の tener(柔らかい、若い)に由来し、英語の tender と同じ語源です。

語の含み

原義は「柔らかい」「若い」で、そこから傷つきやすさ、壊れやすさという含みが生まれます。したがってこの指示は、単に優しく弾くことではなく、扱いに注意を要するものに触れるような質を求めています。強く出すと壊れてしまうという前提が語の中にあります。

con tenerezza との関係

tenero が形容詞、tenerezza がその名詞形で、con tenerezza は「優しさをもって」となります。指示としての内容はほぼ同じですが、con tenerezza は演奏者が優しさを持ち込むことを、tenero は音楽がそういう性質であることを示します。

混同しやすい用語

♪

Teneramenteテネラメンテ

イタリア語

優しく、慈しんで

深い愛おしさを伴う表現。

Teneramente は「優しく、慈しんで」。形容詞 tenero(柔らかい、幼い)の副詞形で、ラテン語 tener に由来する。

「若く柔らかいもの」への視線

ラテン語 tener はもともと、若い植物や幼い生き物のような、傷つきやすく柔らかいものを指した。英語の tender も同じ語根。teneramente が表す優しさには、対象を壊れやすいものとして慈しむニュアンスが込められている。

混同しやすい用語

♪

Con tenerezzaコン・テネレッツァ

イタリア語

優しく、愛情を持って

「優しさをもって」。tenero と同じ内容。

Con tenerezza は「優しさをもって」。tenero(柔らかい、優しい)の名詞形 tenerezza を使った指示です。

tenero との違い

形容詞 tenero は音楽の性質を述べ、con tenerezza は演奏者がその質を持ち込むことを述べます。実際の演奏上の違いはほとんどありませんが、後者は「優しさ」という抽象名詞を明示するため、態度としての指示に近い語感があります。

混同しやすい用語

♪

Affettuosoアッフェットゥオーゾ

イタリア語

愛情を込めて、優しく

affetto(情愛)から。「愛情を込めて」。

Affettuoso は「愛情を込めて、優しく」。名詞 affetto(愛情)から派生した形容詞で、affetto はラテン語 affectus(動詞 afficere「働きかける、影響を与える」の過去分詞)に由来する。

「働きかけられた状態」が「愛情」に

afficere は「〜に影響を与える、働きかける」という意味の動詞で、その過去分詞 affectus は本来「(何かに)働きかけられて生じた状態」を広く指した。ここから「心に働きかけられて生まれる情愛」という意味の affetto が育ち、affettuoso はその形容詞形にあたる。英語の affection, affectionate も同じ語根。

混同しやすい用語

♪

Con affettoコン・アッフェット

イタリア語

愛情を込めて、優しく、慈しんで

「情愛をもって」。

Con affetto は「情愛をもって」。affetto は英語の affection と同じ語源で、心を向けることを意味します。

affetto という語

ラテン語の affectus(心を動かされた状態)に由来します。バロック期の音楽論では、affetto(複数形 affetti)は音楽が表現すべき情感を指す重要な用語でした。この語が指示として書かれる場合、単に優しく弾くことではなく、心が向いている状態を音に反映させることを求めています。

近い語との関係

con amore が「愛」、con tenerezza が「優しさ」、con affetto が「情愛」。いずれも近い方向にありますが、affetto は心が対象へ向かうという動きを含む点で、状態を述べる語とは違います。affettuoso という形容詞形も同じ意味で使われます。

混同しやすい用語

♪

Amorosoアモローゾ

イタリア語

愛らしく、優しく、恋するように

恋愛の情感を込め、柔らかく甘やかな表情を求める指示。

Amoroso(アモローゾ)はイタリア語で「愛らしく、恋するように」を意味する表情指示で、柔らかく甘やかな性格を求める。

語源と表現の方向性

amore(愛)を語根に持つ語で、Dolce(甘く優しく)と近い方向性を持ちながらも、より明確に恋愛的な情感、憧れや親密さを音楽に込めることを求める。

演奏上の要点

角の取れた柔らかいタッチと、旋律を語りかけるように歌わせる呼吸が求められる。急激な強弱の変化より、なだらかに膨らみ、収まっていくフレージングが性格に合う。

混同しやすい用語

♪

Carezzevoleカレッツェーヴォレ

イタリア語

愛撫するように、優しく愛らしく

carezza(愛撫)から。「愛撫するように」。

Carezzevole は「愛撫するように」。carezza(愛撫)から派生した語です。

触れる動作としての指示

carezza は手で優しく撫でる動作を指す語です。英語の caress も同じ語源です。この指示が求めているのは感情ではなく、触れ方です。したがって、鍵盤や弦に接触する瞬間の扱いが直接この指示に対応します。押すのではなく撫でるという動作の違いが、音の立ち上がりに現れます。

近い語との違い

tenero や dolce が音楽の性質を述べるのに対して、carezzevole は動作を述べます。指示の抽象度が違うため、こちらのほうが具体的に何をすべきかが分かる語です。

混同しやすい用語

♪

Accarezzevoleアッカレッツェーヴォレ

イタリア語

愛撫するように、愛らしく

非常に柔らかく、慈しむようなタッチ。

Accarezzevole は「愛撫するように」。carezza(愛撫)を語根に持ち、触れ方の柔らかさを求めます。

触れる動作としての指示

carezza は手で優しく撫でる動作を指す語で、英語の caress も同じ語源です。この指示が求めているのは感情ではなく、触れ方です。したがって、鍵盤や弦に接触する瞬間の扱いが直接この指示に対応します。押すのではなく撫でるという動作の違いが、音の立ち上がりに現れます。

carezzevole との関係

carezzevole と accarezzevole は同じ語根から派生した語で、指示内容の違いはありません。接頭辞 a- が付いた形が accarezzevole です。同じ系統に carezzando(愛撫しながら)というジェルンディオ(動名詞)の形もあります。

近い語との違い

tenero や dolce が音楽の性質を述べるのに対して、この語は動作を述べます。指示の抽象度が違うため、何をすべきかがより具体的に分かる語です。

混同しやすい用語

♪

Carezzandoカレッザンド

イタリア語

愛撫するように

非常に柔らかいニュアンス。

Carezzando は「愛撫しながら」。carezza(愛撫)を語根に持つジェルンディオ(動名詞)で、触れ方の柔らかさを求めます。

触れる動作としての指示

carezza は手で優しく撫でる動作を指す語で、英語の caress も同じ語源です。この指示が求めているのは感情ではなく、触れ方です。したがって、鍵盤や弦に接触する瞬間の扱いが直接この指示に対応します。押すのではなく撫でるという動作の違いが、音の立ち上がりに現れます。

語形の違い

carezzevole(形容詞)、accarezzevole(接頭辞付きの形容詞)、carezzando(ジェルンディオ)はいずれも同じ語根から派生した語で、指示内容の違いはありません。ジェルンディオの形は、動作が続いていることを示します。

混同しやすい用語

♪

Innigインニヒ

ドイツ語

心の底から、親密に、深く

ドイツ語で「心の底から、内面的に」。

Innig は「心の底から、親密に、深く」。ドイツ語 inne(内側に、内部で)に、形容詞を作る接尾辞 -ig を付けた語。

「内側」が語の芯

inne は英語 in / inner と同じ語根を共有し、Innig は「表面的でなく、内側から湧き出るような深さ」を表す。シューマンの作品にしばしば見られる指示で、感情の内面的な深さを強調する。

表情のほかのテーマ