上品さと節度 — Elegante・Garbato
elegante(エレガンテ)は「優雅に、上品に」。ラテン語の eligere(選び出す)に由来し、con eleganza は名詞を使った形です。garbato(上品に、礼儀正しく)と副詞形の garbatamente、con garbo は garbo(品位)を語根に持ちます。
趣味・慎み・ふさわしさ
con gusto(趣味よく)の gusto はラテン語 gustus(味覚)、discrezione(慎み)はラテン語 discernere(見分ける)、decorum(ふさわしいこと)はラテン語 decere(ふさわしい)に由来します。deselegante は elegante に否定の接頭辞を付けた形です。
優雅に、上品に
「優雅に、上品に」。ラテン語 eligere(選び出す)から。
Elegante は「優雅に、上品に」。ラテン語の eligere(選び出す)に由来します。
「選ぶ」という語源
elegans は eligere(選び出す)から派生した語で、原義は「よく選ばれた」です。英語の elegant、elect(選挙する)も同じ語根です。この語源が示すのは、余計なものを排して選び抜かれた状態です。grazia が「与えられた恵み」を語源とするのに対して、こちらは選択という行為を含みます。
演奏上の判断
選び抜かれた状態を目指すため、過剰な表情を加えないことが要点になります。音量の変化、テンポの揺れ、装飾の付け方をいずれも控えめにし、プロポーションを整えることがこの指示に応える扱いです。con eleganza も同じ内容です。
♪Con eleganzaコン・エレガンツァ
イタリア語
優雅に、上品に
「優雅さをもって」。elegante と同じ内容。
Con eleganza は「優雅さをもって」。elegante の名詞形を用いた指示です。
elegante との関係
形容詞 elegante と指示内容は同じです。語源は「選び出す」で、余計なものを排して選び抜かれた状態を指します。詳しい説明は elegante のページにあります。
上品に、優雅に、礼儀正しく
garbo(品位)から。「上品に、礼儀正しく」。
Garbato は「上品に、礼儀正しく」。garbo(品位、優雅さ)から派生した語です。
garbo という語
garbo は、立ち居振る舞いの美しさや礼儀正しさを指すイタリア語です。単なる美しさではなく、他者への配慮を含んだ洗練を意味します。con garbo(品よく)という形でも使われます。
演奏上の判断
礼儀正しさが含まれる語であるため、自己主張を前に出すこととは方向が違います。過剰な表情、極端な音量、粗い打鍵を避け、整った形を保つことがこの指示に沿った扱いです。elegante が「選び抜かれた」という語源を持つのに対して、garbato は他者に対する態度という含みを持つ点が違います。
Garbatamente は garbato の副詞形で「上品に、しとやかに」。garbo(品位)を語根に持ちます。
garbo という語
garbo は、立ち居振る舞いの美しさや礼儀正しさを指すイタリア語です。単なる美しさではなく、他者への配慮を含んだ洗練を意味します。この点が、grazia(恵み)や eleganza(選び抜かれたこと)を語根とする語との違いです。
演奏上の判断
礼儀正しさが含まれる語であるため、自己主張を前に出すこととは方向が違います。過剰な表情、極端な音量、粗い打鍵を避け、整った形を保つことがこの指示に沿った扱いです。
Con garbo は「優雅に、礼儀正しく」。garbo の語源には諸説があり、確定していない。
節度のある優雅さ
garbo が指す優雅さは、grazioso のような身のこなしの優雅さよりも、振る舞いの節度や礼儀正しさに重心がある。イタリア語には形容詞形 garbato(上品な、礼儀正しい)も存在し、con garbo は名詞 garbo に con を添えた形。
Con gusto は「趣味良く、味わい深く」。gusto はラテン語 gustus(味、味覚)に由来し、味わうように演奏することを求める指示。
「味覚」から「センス」へ
gustus はもともと文字通りの味覚を指すラテン語で、そこから「物事を見分ける感覚」「趣味の良さ」へと意味が広がった。英語の gusto, gustatory(味覚の)も同じ語根。演奏における con gusto は、趣味のよさ、味わいをもって演奏することを求める。
♪Discrezioneディスクレツィオーネ
イタリア語
Discrezione は「慎み、控えめさ」。con discrezione の形で、出すぎないことを求めます。
「見分ける」という語源
ラテン語の discernere(分ける、見分ける)に由来します。dis(離して)と cernere(ふるい分ける)から成る語です。英語の discretion、discern、discriminate も同じ語根です。原義は区別する能力で、そこから「わきまえる、慎む」という意味が生じました。慎み深さが判断力の語から来ている点が特徴です。
何をわきまえるのか
語源が「見分ける」であることから、この指示は単に控えることではありません。何を出し、何を抑えるかを判断することです。伴奏の声部にこの指示があれば、主旋律との関係で自分の位置を判断することが求められます。全体を一律に小さくすることとは違います。
演奏上の判断
アンサンブルでは、他のパートが何をしているかを聞いたうえで自分の音量と音色を決めることになります。独奏曲でも、複数の声部のあいだで同じ判断が必要です。出すぎないことが目的ではなく、適切な関係を作ることが目的です。
elegante(優雅な)に否定の接頭辞を付けた形で、「優雅さを欠いた」を意味します。
語形について
elegante(優雅な)に否定の接頭辞を付けた形です。イタリア語で一般的な否定形は inelegante で、des- を用いる形は標準的とは言えません。
演奏上の判断
粗野さを作るには、整えないことを意図的に行います。フレーズの形を滑らかにせず、音量の変化を唐突にし、音色に角を残します。ただし音程やリズムが崩れると、意図した粗さではなく不正確さになります。
端正、適切、品の良さ
行き過ぎを戒め、その曲のスタイルに最もふさわしい、規律ある演奏を保ちます。
Decorum はラテン語で「ふさわしいこと」。行き過ぎを戒め、その様式に適した演奏を保つことを求めます。
修辞学の用語
ラテン語の decere(ふさわしい)から派生した語です。古代の修辞学では、語り方が場と主題にふさわしいことを decorum と呼び、重要な原則としていました。英語の decorate、decent も同じ語根で、「ふさわしく整える」という原義を共有します。
音楽における意味
その曲の様式にふさわしい範囲を守ることを指します。バロック作品にロマン派的な大きなルバートを持ち込む、古典派のソナタに過剰な音量差を付けるといった扱いは、この原則から外れます。何が適切かは様式によって変わるため、この語は絶対的な基準ではなく、対象に応じた判断を求めています。
抑制と無表情の違い
行き過ぎを避けることは、表情を消すことではありません。その様式の中で使える手段を十分に使ったうえで、枠を越えないという判断です。抑えすぎて何も伝わらなければ、それも decorum を満たしていないことになります。