Sonoreソノール
フランス語
朗々と、響き豊かに
楽器全体を存分に鳴らすオープンな音。
Sonore はフランス語で「よく響く、朗々とした」。ラテン語 sonorus(響きのよい)に由来し、イタリア語の sonoro にあたる。
sonare の語族
英語 sound, resonance(re+sonare「再び鳴り響く」)はすべて同じラテン語根から派生している。
音楽用語辞典 & チューナー・メトロノーム
timbre(タンブル)はフランス語で「音色」。同じ高さ・同じ音量でも楽器や声によって異なる音の性質を指し、この違いは倍音の構成で説明されます。
sonore(よく響く)はフランス語で、イタリア語の sonoro にあたります。armonioso(調和のとれた)は armonia(調和)、con espansione(広がりをもって)は espansione(広がり)から来た語です。
chiaro(澄んだ、明瞭な)と oscuro(暗く)は対になる語で、美術用語のキアロスクーロ(chiaroscuro)はこの2語を組み合わせたものです。フランス語の sombre(暗い)は oscuro に相当し、rauco は「しわがれた」です。
nuance(微妙な差異)はフランス語の nue(雲)に由来し、フランス語の音楽用語では nuances(複数形)が強弱やその記号を指す語としても使われます。
フランス語
朗々と、響き豊かに
楽器全体を存分に鳴らすオープンな音。
Sonore はフランス語で「よく響く、朗々とした」。ラテン語 sonorus(響きのよい)に由来し、イタリア語の sonoro にあたる。
英語 sound, resonance(re+sonare「再び鳴り響く」)はすべて同じラテン語根から派生している。
フランス語
楽器の持つ独特の音の性質
同じドの音でも、ピアノとフルートでは「色」が異なります。音楽の豊かな彩りを決める要素です。
音色のことで、同じ高さ・同じ音量でも楽器や声によって異なる音の性質を指します。この違いは倍音の構成で説明できます。
楽器が出す音は、基音だけでなく多数の倍音を含んでいます。どの倍音がどれだけ強く含まれるかの配分が、音色の違いを生みます。クラリネットが独特の音色を持つのは、片側が閉じた管の構造から奇数倍音が中心になるためです。同じドの音でもピアノとフルートで違って聞こえるのは、この配分が違うためです。
倍音の配分だけでなく、音の出だしの数十ミリ秒に含まれる情報も音色の認識に関わります。持続音の部分だけを切り出して聞くと、どの楽器か判別しにくくなることが知られています。したがって音色は、静的な性質ではなく時間的な変化を含む現象です。
フランス語の timbre は、もともと太鼓や鈴を指す語でした。ギリシャ語の tympanon(太鼓)に遡ります。フランス語では現在も「切手、印章」の意味を持ちます。
奏者が音色を変えるのは、倍音の配分を変える操作です。弦楽器で弓を弾く位置を変える(駒寄りで倍音が増え、指板寄りで減る)、管楽器で息の速度や口の形を変える、ピアノで打鍵の速度と指の当て方を変えるといった方法があります。いずれも物理的な操作に基づいています。
弦楽器
弓の位置(駒寄りか指板寄りか)を変えるだけで、同じ音高でも含まれる倍音の割合が変わり、音色が大きく変化します。
管楽器
アンブシュアと息のスピードの組み合わせを変えることで、同じ運指でも異なる音色を作れます。
ラヴェル「ボレロ」
同じ旋律を異なる楽器の組み合わせで繰り返し、音色そのものを主題として扱った代表作です。
フランス語
微妙な音色の変化
強弱や速度だけでは表せない、繊細な「影」や「彩り」。演奏者の感性が最も試される、デリケートな表現です。
Nuance は「微妙な差異」。フランス語の nue(雲)に由来し、原義は雲の色合いの移り変わりです。
ラテン語の nubes(雲)からフランス語の nue が生まれ、そこから nuer(色合いをつける)、nuance が派生しました。雲は境目のない濃淡の連続でできています。
なお、フランス語の音楽用語では nuances(複数形)が強弱、またその記号を指す語としても使われます。日本語の「ニュアンス」は、記号で書き切れない微妙な差異という広い意味で使われることが多い語です。
音量とテンポだけでは nuance は作れません。音色、音の立ち上がり、音の終わり方、和音の中の各音のバランス、わずかな時間の伸縮といった要素が関わります。これらは連続的に変えられるため、段階を持ちません。楽譜に書かれていない部分がここに属します。
共通
大きな強弱の変化ではなく、同じ p の中での微妙な音色の違いを作る練習が、ニュアンスを豊かにします。
イタリア語
調和のとれた、和声豊かな
armonia(調和)から。「調和のとれた」。
Armonioso は「調和のとれた、和声豊かな」。armonia(和声、調和)から派生した形容詞で、armonia はギリシャ語 harmonia(結合、調和)に由来する。
ギリシャ語 harmonia は動詞 harmozein(継ぎ合わせる、はめ込む)に由来し、もとは大工仕事で部材の継ぎ目をぴったり合わせることを指した。そこから「異なる音や要素がぴったり調和する」という音楽用語としての意味が育った。英語の harmony, harmonic も同じ語根を持つ。
イタリア語
澄んだ、明瞭な
にごりのない響き。
Chiaro は「澄んだ、明瞭な」。ラテン語の clarus に由来し、濁りのない響きを求めます。
ラテン語の clarus は、明るい、輝く、明瞭な、有名なといった意味を持つ語です。英語の clear、clarify、declare、そして clarinet(高音のトランペットを指した clarino に由来)も同じ語根です。視覚の明るさと、聴覚の明瞭さの両方に使われる語です。
美術用語のキアロスクーロ(chiaroscuro)は、chiaro(明)と oscuro(暗)を組み合わせた語で、明暗の対比による表現を指します。音楽でも oscuro(暗く)が指示として使われ、この2語は対をなします。
澄んだ響きを作るには、余分な音を混ぜないことが基本です。ピアノではペダルの踏み替えを正確に行い、和声の変わり目で前の響きを残さないようにします。低音を厚くしすぎないことも効果があります。弦楽器では弓の圧力を過剰にせず、雑音成分を抑えます。音量を上げても濁れば明瞭にはなりません。
イタリア語
暗く、不透明な
ラテン語 obscurus から。「暗く」。
Oscuro は「暗く、不透明な」。ラテン語 obscurus(暗い、覆われた)に由来し、英語 obscure と同じ語根を持つ。
obscurus は光が遮られて見えない状態を指すラテン語の形容詞で、英語 obscure(不明瞭な、覆い隠す)も同じ語根から。音楽での oscuro は、音色がこもって不透明な質感を求める指示として使われる。
フランス語
暗い、陰気な
フランス語で「暗い、陰気な」。
Sombre はフランス語で「暗い、陰気な」。イタリア語の oscuro に相当し、影の濃い響きを求めます。
ラテン語の umbra(影)に接頭辞が付いた形から発達したと考えられています。英語の somber(somber / sombre)、umbrella(小さな影=日傘)、umbrage も同じ umbra に連なります。したがってこの語が指すのは、光がないことより、影が差していることです。
暗い響きは音量を落とすことでは作れません。倍音の構成を変えることで色が変わります。弦楽器では弓を指板寄りで弾いて高い倍音を減らす、管楽器では息の速度を落とす、ピアノでは打鍵の立ち上がりを鈍らせるといった方法があります。低音域を厚く使うことも暗さに寄与します。
misterioso(神秘的に)は隠されていることが主体で、輪郭をぼかす方向にあります。sombre は暗さそのものであり、輪郭は明確なままでも成立します。freddo(冷たく)は温度の語で、感情の欠如を含みます。sombre には感情があり、それが暗いという点が違います。
弦楽器
弓のスピードを落とし、駒からやや離れた位置で弾くと、暗く沈んだ音色が作りやすくなります。
イタリア語
しわがれた、枯れた
ラテン語 raucus から。「しわがれた」。
Rauco は「しわがれた、枯れた」。ラテン語 raucus(しわがれ声の、耳障りな)に由来し、英語 raucous(かん高く耳障りな)と同じ語根を持つ。
raucus は澄んだ美しい声とは対照的な、かすれてざらついた音質を指す語。楽器の音についても、意図的に濁らせたような音色を求める指示として転用される。
イタリア語
広がりを持って
伸びやかな響き。
Con espansione は「広がりを持って」。espansione はラテン語 expandere(外へ広げる。ex+pandere「広げる」)に由来し、音を空間的に広げていくような表現を指す。
expandere は英語の expand, expansion とまったく同じ語根で、意味の隔たりも小さい。音楽での con espansione は、音量を単に大きくするというより、フレーズが内側から膨らみ、時間的にも間を広く取るような演奏を求める指示として使われる。