熱狂と高揚 — Con entusiasmo・Begeistert
con entusiasmo は「熱中して」。entusiasmo はギリシャ語 enthousiasmos に由来し、en(中に)と theos(神)から成る語です。フランス語では enthousiasme です。
高揚を表す語
ドイツ語の begeistert(感激して)は Geist(霊)を語根に持ちます。exaltation(高揚)はラテン語 altus(高い)、estatico(恍惚として)はギリシャ語 ekstasis(外に立つこと)に由来します。フランス語の empressement は「熱心さ、はやる気持ち」です。
♪Con entusiasmoコン・エントゥジアズモ
イタリア語
Con entusiasmo は「熱中して」。entusiasmo はギリシャ語 enthousiasmos(神が内に宿ること)に由来し、en(中に)と theos(神)が組み合わさった語。
「神懸かり」から「熱中」へ
古代ギリシャでは、詩人や巫女が神霊に取り憑かれたような状態を enthousiasmos と呼んだ。この「自分を超えた力に突き動かされている」という語の核が、現在の「我を忘れるほどの熱中」という意味に受け継がれている。英語の enthusiasm も同じ語根から。
♪Enthousiasmeアントゥジアズム
フランス語
Enthousiasme はフランス語で「熱狂、情熱」。ギリシャ語 enthousiasmos に由来し、原義は「神が内にある状態」です。
「神が内にある」
en(内に)と theos(神)から成る語です。古代ギリシャでは、詩人や予言者が神に憑かれて語る状態を指しました。英語の enthusiasm、そして theology、atheist も同じ theos を語根に持ちます。原義は、自分の意志ではなく外から与えられた高揚です。
ドイツ語 begeistert との一致
ドイツ語の begeistert は「Geist(霊)を吹き込まれた」という構造で、同じ発想に基づいています。二つの言語が別の語で同じ捉え方をしていることになります。高揚を外から来るものと見る点が共通しています。
演奏上の判断
与えられた高揚という性質から、抑制された表現とは方向が違います。音量と動きの幅を大きく取ることが語に合いますが、骨格が崩れると熱狂ではなく混乱になります。
感激して、熱狂的に、霊感を受けて
ドイツ語で「感激して、霊感を受けて」。Geist(精神)を語根に持つ。
Begeistert はドイツ語で「感激して、霊感を受けて」。Geist(精神、霊)を語根に持つ語です。
Geist という語
begeistern は「Geist を吹き込む」という構造の動詞で、その過去分詞が begeistert です。Geist は精神、霊、才気を意味し、英語の ghost と同じ語根です。したがってこの語が指すのは、単なる興奮ではなく、外から霊感が入ってきたような高揚です。
enthousiasme との共通性
ギリシャ語由来の enthousiasmos は en(内に)と theos(神)から成り、「神が内にある状態」を意味します。ドイツ語の begeistert も「霊が吹き込まれた」という構造で、両者は発想が一致しています。高揚を、自分の内から出るものではなく外から与えられたものとして捉える見方です。
演奏上の判断
与えられた高揚という性質から、この指示は計算された表現とは方向が違います。ただし制御を失うことでもありません。音量やテンポの振れ幅を大きく取りながら、骨格は保つという扱いになります。
演奏のヒント
アンサンブル
高揚を作ろうとして力任せに弾くと、骨格が崩れて単なる乱れになります。テンポや音量の振れ幅は大きく取りつつ、拍そのものは仲間と共有しておくことで、制御を失わない高揚感が保てます。
♪Exaltationエグザルテーション
英語/フランス語
高揚、有頂天の状態を指す語です。ラテン語の altus(高い)を語根に持ち、上へ持ち上げられることを原義とします。
「高く上げる」という語源
ラテン語の exaltare は、ex(外へ、上へ)と altus(高い)から成ります。英語の exalt、altitude、alto(高い声部)も同じ altus に連なります。原義は物理的に持ち上げることで、そこから精神の高揚という意味が生じました。
上へ向かう高揚
語源が「高く上げる」であるため、この語には上方向の含みがあります。estatico(恍惚として)が「外に立つ」を語源とし、通常の意識の外へ出ることを指すのに対して、exaltation は上へ昇る動きです。音楽では、音域が上がる、和声が明るくなる、音量が増すといった書法と対応します。
演奏上の判断
上へ向かう動きが性質であるため、フレーズが頂点へ向かうことを明確に示す扱いになります。到達点を設計し、そこへ向けて配分することが要点です。始めから最大にすると、上がる余地がなくなります。
Empressement はフランス語で「熱心さ、はやる気持ち」。presser(押す、急ぐ)を語根に持ちます。
「押される」という語源
再帰動詞 s'empresser(急ぐ、いそしむ)から派生した名詞です。presser はラテン語の premere(押す)に由来し、英語の press、pressure、express も同じ語根です。したがってこの語は、内側から押されて前のめりになる状態を指します。
演奏上の判断
前のめりのエネルギーが性質であるため、テンポが押し出される扱いになります。ただし加速そのものを指定する指示ではなく、急ぎたい気持ちが表れている状態です。イタリア語の incalzando(追い立てられて)が外から押される状態を指すのに対して、こちらは内側からの衝動です。
有頂天の、恍惚とした
ギリシャ語 ekstasis(外に立つこと)から。「恍惚として」。
Estatico は「恍惚として」。ギリシャ語の ekstasis(外に立つこと)に由来します。
「外に立つ」という語源
ek(外へ)と stasis(立つこと)から成る語で、自分の外に出た状態を意味します。英語の ecstasy、ecstatic も同じ語源です。したがってこの指示が示すのは、単なる幸福感ではなく、通常の意識の外にある状態です。
演奏上の判断
通常の状態から外れていることが表現の内容なので、日常的な進行の感覚を保ったままでは伝わりません。時間の感覚が薄れるような扱い、たとえばテンポの枠を意識させない処理が効果を持つ場合があります。ただし楽譜に書かれた構造を崩すことではありません。