Semplice
センプリチェ
意味
単純に、素直に、飾り気なく
解説
余計な装飾を削ぎ落とした美しさ。作為を感じさせない、ありのままの旋律を奏でることが最も難しい挑戦です。
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センプリチェ
単純に、素直に、飾り気なく
余計な装飾を削ぎ落とした美しさ。作為を感じさせない、ありのままの旋律を奏でることが最も難しい挑戦です。
Semplice は「単純に、飾り気なく」。表現を加えるのではなく、余分なものを取り去ることを求める、珍しいタイプの指示です。
semplice は「素直に弾け」という指示ですが、これは無表情に弾くことではありません。過剰なルバート、大げさな強弱、必要以上のビブラートといった装飾的な表現を外し、旋律とリズムそのものを聴かせるという意味です。何かを足すより取り去るほうが難しく、演奏者の音楽性が最も裸で現れる指示だと言えます。
飾りを外すと、音程、リズム、音色の均一さといった基礎的な要素が直接聞こえます。したがって semplice の箇所は、技術的には易しく見えても実際には難所であることが多くなります。ゆっくり丁寧にさらい、一音ずつの質を揃える作業が、そのまま表現になります。
ピアノ
ペダルを控えめに。響きで飾らず、指の音だけで旋律を成立させます。
弦楽器
ビブラートを控え、弓を均一に。音程のわずかなずれが目立つため、丁寧な確認が必要です。
管楽器
ビブラートを外し、息を一定に。音の始まりと終わりの処理だけで表情を作ります。
ベートーヴェン ピアノソナタ第30番 第3楽章 主題
Gesangvoll, mit innigster Empfindung。飾らない旋律が変奏の土台になります。
サティ「ジムノペディ 第1番」
装飾を排した書法。何も足さないことが様式そのものです。