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音楽用語辞典 & チューナー・メトロノーム

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終わりと曲の部分 — finalement・coda・introduction

coda(コーダ)はイタリア語で「尻尾」で、楽曲の主要部分の後に置かれる結尾部です。introduction(序奏)は主部の前に置かれる導入部、cadenza(カデンツァ)は協奏曲などで独奏者が伴奏なしに演奏する部分、movement(楽章)は大きな作品を構成する独立した部分です。

finalement

フランス語の finalement(ついに、最後に)は、終結に向かう箇所に置かれる語です。英語の final、音楽用語の fine と同じく、ラテン語 finis(終わり)に由来します。

climax・expansion・encore

climax はギリシャ語 klimax(はしご)に由来する語で、楽曲や部分の頂点を指します。expansion(拡張)は、予想される長さよりフレーズや構造を引き伸ばすことです。encore(アンコール)は演奏会の本編の後に追加で演奏される曲で、フランス語圏では bis が使われます。

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Finalementフィナルマン

フランス語

ついに、最後に

終結部での指示。

Finalement はフランス語で「ついに、最後に」。それまでの経過を経てある状態に至ることを示し、終結に向かう箇所に置かれます。

語源

形容詞 final(最後の)に副詞語尾 -ment を付けた形です。ラテン語の finis(終わり、境界)に由来し、英語の final、finish、finite、そして音楽用語の fine も同じ語根を持ちます。finis の原義は「境界」で、そこから「終わり」の意味が生じました。

-ment というフランス語の副詞語尾

フランス語では形容詞の女性形に -ment を付けて副詞を作ります。final → finalement、grave → gravement、doux → doucement がこの形です。イタリア語の -mente と同じラテン語起源の語尾で、両者は対応関係にあります。フランス語の楽譜で -ment で終わる語を見たら、元の形容詞を切り出せば意味が取れます。

楽譜での位置

この語は速度や音量を指定しません。示しているのは、その箇所が到達点にあたるということです。したがって、そこまでの経過があって初めて意味を持つ指示であり、前段をどう積み上げたかが結果を決めます。

混同しやすい用語

𝄌

Codaコーダ

イタリア語

結びの部分、終結部

すべての結び。イタリア語で「尻尾(しっぽ)」。主題を振り返り、最終的な納得へと聴衆を導きます。

Coda はイタリア語で「尻尾」。楽曲の主要部分が終わったあとに置かれる結尾部で、曲を締めくくるために付け加えられた部分です。

付け足しではなく、着地

コーダは形式上は「余分な部分」ですが、音楽的にはここで曲が着地します。ソナタ形式では再現部のあとに置かれ、主題を回想したり、和声的な決着を強めたりします。ベートーヴェン以降、コーダは単なる終わりの合図ではなく、第2の展開部と呼べるほどの規模を持つことがあり、曲の重心がここに置かれる場合すらあります。

演奏上の扱い

コーダに入ったことが聴き手に伝わることが重要です。多くの場合、和声が主調に落ち着き、リズムが単純化されます。この変化を明確にすると、曲が終わりへ向かっていることが伝わります。逆に、コーダで新たに盛り上げる設計の曲もあるため、その曲のコーダが「収束型」か「頂点型」かを見極めてから配分を決めてください。

演奏のヒント

共通

コーダに入る直前でテンポと音量の基準を確認します。ここまでの疲労で無意識に速くなりがちです。

合奏

コーダは終止和音が続くことが多く、切り方の統一が印象を左右します。事前に長さを決めておきます。

混同しやすい用語

この指示が使われる曲

ベートーヴェン 交響曲第5番 第4楽章

長大なコーダが、それ自体で一つの頂点を作ります。

ショパン バラード第1番

コーダが激烈な性格を持ち、曲全体の帰結として機能します。

Intro

Introductionイントロダクション(序奏)

英語

序奏

主部が始まる前の導入部。曲の世界観を提示し、聴衆の心の準備を整える役割があります。

Introduction(序奏)は楽曲の主要部分が始まる前に置かれる導入区間を指します。

交響曲の序奏とポピュラー音楽のイントロ

交響曲や序曲では、主部の速い楽章の前に遅いテンポの序奏が置かれることがあります。ポピュラー音楽でも、歌が始まる前の器楽部分をイントロと呼び、同じ語の略称として定着しています。

混同しやすい用語

𝄐

Cadenzaカデンツァ

イタリア語

独奏の即興的見せ場

オーケストラが止まり、ソリスト一人で華麗なテクニックを披露する自由な箇所。

Cadenza は cadenza(終止)と同じ語で、協奏曲などで独奏者が伴奏なしに演奏する装飾的な部分。もともとは終止の直前に置かれた即興の場でした。

終止を引き延ばす場所

カデンツァは、楽章の終わりに向かう終止形の途中で音楽を一度止め、独奏者が自由に演奏する部分です。和声的には、主和音の第二転回形の上で待機している状態が続き、カデンツァが終わると属和音から主和音へ進んで楽章が閉じます。つまりカデンツァは、一つの終止が長く引き延ばされた中に置かれた別世界です。

即興から作曲へ

モーツァルトの時代には、カデンツァは独奏者が即興で演奏するものとされていました(モーツァルト自身は、自作の協奏曲のためのカデンツァを書き残してもいます)。楽譜にはフェルマータの付いた和音だけが書かれ、中身は演奏者に委ねられます。ベートーヴェンは自作のカデンツァを書き残し、以降は作曲家が書いたものを演奏するのが一般的になりました。現在でも、複数の作曲家によるカデンツァから選んだり、自作したりすることがあります。

素材は楽章から取る

良いカデンツァは、その楽章に現れた主題や動機を素材として展開します。無関係な技巧の羅列ではなく、楽章を振り返り、別の角度から照らし直す部分だと考えると、選曲や自作の指針になります。長さも重要で、長すぎると楽章の均衡が崩れます。

演奏のヒント

独奏楽器

伴奏がないためテンポの基準がありません。自分の中に拍を持ち続けないと、形が失われます。

合奏

カデンツァの終わりのトリルが、オーケストラの再開の合図になります。全員がそこを聴いています。

混同しやすい用語

この指示が使われる曲

モーツァルト ピアノ協奏曲第20番 第1楽章

ベートーヴェンが書いたカデンツァが広く演奏されています。

ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲

多数のカデンツァが存在し、どれを選ぶかが演奏解釈の一部になります。

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Climaxクライマックス

英語

楽曲の絶頂、最高潮

エネルギーが最大に達し、感情が爆発する瞬間。ここへ向けてテンションを積み上げることが演奏の醍醐味です。

クライマックスは、楽曲や部分における頂点です。エネルギーが最大に達する箇所を指します。

「はしご」という語源

ギリシャ語の klimax(はしご、階段)に由来します。修辞学では、表現を段階的に強めていく技法を指す語でした。したがって原義には、頂点そのものではなく、そこへ至る段階の積み上げという含みがあります。この語源は、クライマックスが到達点であって独立した瞬間ではないことを示しています。

設計が必要

頂点は、そこへ向かう過程があって初めて頂点になります。したがって、どこが最大かを先に決め、そこへ向けて音量、テンポ、音域、密度を配分することになります。手前で最大に近づけてしまうと、到達したときに行き場がなくなります。逆に、頂点を過ぎた後の扱いも設計に含まれます。

音量だけではない

頂点を作る要素は音量に限りません。音域の高さ、和声の緊張、リズムの密度、楽器の数、テンポの前進が組み合わさります。したがって、音量が最大でない箇所が構造上の頂点である場合もあります。最も静かな箇所が頂点になる作品もあり、その判断は楽曲の構造から導かれます。

複数の階層

フレーズの頂点、楽節の頂点、楽章の頂点、全曲の頂点という階層があります。すべてを同じ強さで扱うと構造が平坦になります。どの階層の頂点かを判断し、扱いの深さを変えることが求められます。

演奏のヒント

オーケストラ全般

長い一つの高揚を作る場合、序盤で音量を出しすぎないことが最重要です。最初から強く始めると、頂点で行き場がなくなります。

混同しやすい用語

この指示が使われる曲

ラヴェル「ボレロ」

楽器を少しずつ加えながら1つの長いクレッシェンドを作り、終盤でハ長調からホ長調へ一時的に転じたのち、ハ長調へ戻って終わる設計の作品です。

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Expansionエクスパンション

英語

拡張。フレーズや構造を引き伸ばすこと

予想される長さより、フレーズや終止までの道のりを引き伸ばす操作。音量の増大を指す語ではない。

拡張は、素材や構造を引き伸ばして規模を広げることを指します。音量の増大ではなく、時間や空間の広がりを指す語です。

楽曲構造における拡張

4小節で完結するはずのフレーズが6小節や8小節に引き伸ばされる、終止に達する直前で解決が遅らされる、といった操作が拡張にあたります。予想される長さより長くなることで、聴き手の期待が引き延ばされ、到達したときの効果が強まります。古典派の楽曲でも、終結部が繰り返し引き伸ばされる書法が見られます。

音響的な広がりとして

別の用法として、響きの空間的な広がりを指す場合があります。音域を上下に広げる、声部を増やす、開離配置にするといった手段で、同じ和音でも空間が広がって聞こえます。この意味では、音量を上げることとは別の操作です。

演奏上の扱い

拡張された箇所は、本来の長さより長くなっているところです。したがって、そこを均等に進めると冗長に感じられます。引き伸ばされている理由(到達を遅らせている、期待を高めている)を踏まえ、緊張を保ったまま進めることが求められます。

演奏のヒント

アンサンブル

拡張された箇所では、予想されるはずだった終止が先延ばしにされています。その「まだ終わらない」という緊張を保つには、テンポや音量を平坦に保たず、本来の終止点だった場所を通過するときに一瞬だけ意識を向けると効果的です。

混同しやすい用語

Mov.

Movementムーヴメント(楽章)

英語

大きな作品の一部をなす独立した部分

交響曲などの一つの章。それぞれが異なる性格(速さや表情)を持ち、全体として大きな物語を構築します。

楽章は、交響曲やソナタなどの大きな作品を構成する、独立した部分です。それぞれが異なる速度と性格を持ちます。

独立と統一

各楽章は、それ自体で完結した構造を持ちます。終止し、演奏のあいだに間が置かれます。しかし同時に、全体で1つの作品を構成します。速度の配置(急・緩・急など)、調の関係、性格の対比によって、楽章の並びに意味が与えられます。

典型的な配置

古典派の交響曲では、速い第1楽章、緩やかな第2楽章、メヌエットまたはスケルツォの第3楽章、速い終楽章という4楽章が基本になりました。協奏曲では3楽章、バロックの教会ソナタでは緩急緩急の4楽章が用いられました。これらは慣習であり、規則ではありません。

楽章のあいだ

通常は楽章間に間が置かれますが、attacca の指示があれば切れ目なく続けます。また、楽章の区切りを曖昧にする書法や、全楽章を通して同じ動機を用いる循環形式では、楽章の独立性が弱まります。19世紀以降、この方向の作品が増えました。

演奏上の判断

楽章間の間の長さは、次の楽章との関係で決まります。性格が大きく変わる場合は長めに取り、続きとして扱う場合は短くします。この判断は書かれていないことが多く、演奏者が決めることになります。全体の構成をどう捉えているかが、この扱いに現れます。

演奏のヒント

オーケストラ全般

楽章間をアタッカで続ける指示がある場合、前の楽章の終わりの余韻を残しすぎず、次の楽章の性格へすぐに切り替える準備を、休みなく行う必要があります。

混同しやすい用語

この指示が使われる曲

ベートーヴェン《交響曲第6番「田園」》(1808年)

古典的な4楽章の慣習に対して5楽章から成り、第3楽章「農民の楽しい集い」から第4楽章「雷雨、嵐」、第5楽章「牧人の歌」までがアタッカで切れ目なく続けて演奏される、楽章の独立性を意図的に弱めた作例です。

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Encoreアンコール

フランス語

「もう一度」、再演

演奏終了後の喝采に応えて披露される小品。奏者と聴衆が一体となり、演奏会の余韻を楽しむ特別な時間です。

アンコールは、演奏会の本編が終わった後に追加で演奏される曲です。フランス語の「もう一度」に由来しますが、この用法は英語圏で定着したものです。

フランス語では通じない

encore はフランス語で「もう一度、まだ」を意味する副詞です。しかしフランスでこの語を追加演奏の意味で使う慣習はなく、フランス語では bis(ラテン語由来で「2回」)が用いられます。英語圏で定着した用法が、日本にもそのまま入っています。

本来は繰り返しの要求

もともとは、気に入った曲をその場で再演させることを求める掛け声でした。オペラの上演中にアリアを繰り返させることが行われた時代があり、これが原義に近い形です。現在の演奏会では、本編と別の曲を追加する形が一般的で、原義から離れています。

選曲の意味

本編との関係で選ばれます。重い作品の後に軽い小品を置いて緊張を解く、あるいは本編の作曲家に関わる作品を選ぶといった判断があります。あらかじめ用意されていることが通例ですが、聴衆の反応によって変えられることもあります。演奏会の構成の一部として機能します。

演奏のヒント

ピアノ

アンコールで演奏する小品は、本編の緊張を解く役割を持つことが多いため、技巧を誇示するより、聴衆がすでに知っている旋律をゆったりと歌わせるつもりで弾くと、演奏会全体の締めくくりにふさわしい効果が生まれます。

混同しやすい用語

この指示が使われる曲

ホロヴィッツ、シューマン《トロイメライ》をアンコールで演奏(1986年モスクワ)

1925年以来61年ぶりとなったモスクワでの演奏会で、ホロヴィッツはシューマン《子供の情景》第7曲《トロイメライ》をアンコールとして演奏しました。本編とは別に、聴衆との関係の中で選ばれる小品というアンコールの性格を示す例として知られます。

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