Just intonation
ジャスト・イントネーション(純正律)
意味
濁りのない完全な和音の調律
解説
主要な和音が唸りを伴わず完璧に美しく響く調律。合唱やブラスアンサンブルで、至高の透明感を作り出します。
音楽用語辞典 & チューナー・メトロノーム
ジャスト・イントネーション(純正律)
濁りのない完全な和音の調律
主要な和音が唸りを伴わず完璧に美しく響く調律。合唱やブラスアンサンブルで、至高の透明感を作り出します。
Just intonation(純正律)は、音程を単純な整数比の周波数比で調律する方式。完全5度を3:2、長3度を5:4のように、倍音同士がうなりなく溶け合う比率に合わせる。
二つの音の周波数が単純な整数比にあると、両者の倍音列の多くが重なり合い、うなり(干渉による音量の周期的な揺れ)がほとんど生じない。純正律はこの原理に基づき、各音程を可能な限り単純な整数比に合わせて調律する。
現在広く使われる12平均律は、1オクターブを周波数比で等しい12個の半音に機械的に分割するため、多くの音程がわずかに純正な比からずれている。純正律はある一つの調では極めて美しい響きが得られる一方、比率が調ごとに異なるため、転調や移調を伴う音楽には適さない。合唱や弦楽アンサンブルでは、和音の響きを合わせる際に奏者が耳で純正律に近づけて演奏することがある。
音程の差は、半音を100とする単位「セント」で表せる。周波数比 3:2 の完全5度は約701.96セントで、平均律の700セントより約2セント高い。5:4 の長3度は約386.31セントで、平均律の400セントより約13.7セント低い。6:5 の短3度は約315.64セントで、平均律の300セントより約15.6セント高い。完全5度のずれは小さいが、3度のずれは大きい。長3度を含む和音でうなりが目立つのはこのためで、純正な長3度に合わせると、平均律に慣れた耳には低く聞こえる。
弦楽器や声、スライド式のトロンボーンなどは、奏者が演奏中に音程を調整できるため、和音ごとに純正な比へ寄せることができる。ピアノのように音高が調律で固定された楽器では、演奏中に調整できないので、純正律で演奏するには楽器自体をその調律にしておく必要がある。
弦楽器
長3度を含む和音では、3度の音を平均律より約14セント低めに取ると、和音のうなりが消える。短3度は逆に約16セント高めに取る。
声楽(合唱)
和音が持続する箇所では、長3度を低めに、短3度を高めに取ると響きが溶け合う。鍵盤楽器と合わせる場合は、鍵盤の平均律に引きずられないよう、和音の中での役割を意識する。
ピアノ・鍵盤楽器
奏者は音程を調整できない。純正律で弾くには、専用の調律を施した楽器が必要になる。
ラ・モンテ・ヤング「The Well-Tuned Piano」
1964年に始まった独奏ピアノ曲。純正律(7リミット)に調律されたピアノを要求し、第5倍音を使わず、倍音・下方倍音の2、3、4、6、7番だけで音階を作る。通常の演奏は5〜6時間に及ぶ。
ハリー・パーチ「Delusion of the Fury」
1オクターブを自然倍音列に由来する43の不等分に分ける音階で書かれた。パーチは Chromelodeon、Quadrangularis Reversum、Zymo-Xyl など、多くの独自の楽器を自作した。この作品は1969年初頭にカリフォルニア大学で初演され、彼の最後の舞台作品となった。
ベン・ジョンストン 弦楽四重奏曲第4番
7リミットの純正律で書かれ、シカゴのファイン・アーツ音楽財団の委嘱による。ジョンストンは、純正律ではうなりが消え、すべての音程の振動数が小さな整数比になると述べている。