音符の種類 — 全音符・2分音符・4分音符・8分音符
note(音符)は、音の高さと長さを楽譜上に示す記号です。全音符を1として、その半分が2分音符、4分の1が4分音符、8分の1が8分音符、16分の1が16分音符と、名前が長さの分数になっています。
形の見分け方
全音符は白い符頭だけ、2分音符は白い符頭に符幹、4分音符は黒い符頭に符幹が付きます。8分音符からは旗(または連桁)が付き、1本増えるごとに長さが半分になります。
各国語の呼び名
イタリア語の bianca とフランス語の blanche は、どちらも「白」で2分音符を指す呼び名です(イタリア語の正式な名称は minima)。breve は全音符の2倍の長さの音符で、語源のラテン語 brevis は「短い」を意味します。
音、音符
音楽の最小の構成要素。音の高さと長さ(リズム)を楽譜上に固定します。
Note(音符)は音の高さと長さを楽譜上に固定する記号。符頭の位置が音高を、符頭・符幹・符尾の形が長さを表します。
符頭・符幹・符尾
全音符は符幹を持たない白い符頭のみ、2分音符は白い符頭に符幹が付き、4分音符以下は黒く塗りつぶした符頭に符幹が付きます。8分音符以降はさらに符尾(旗)または連桁が加わり、旗が1本増えるごとに長さは半分になります。
五線と音高
音の高さは五線上のどの線・間に符頭があるかと、その前に置かれた音部記号(clef)の組み合わせで決まります。同じ位置の音符でも、ト音記号とヘ音記号では指す音がまったく異なります。
全音符は、現代の記譜で基準となる長い音符です。符頭だけで書かれ、符幹(棒)も旗も持ちません。4分の4拍子では4拍分になります。
「全」という名前の意味
全音符を1として、その半分が2分音符、4分の1が4分音符、8分の1が8分音符と、分数で名前が付いています。日本語と英語(whole / half / quarter / eighth)はこの分数体系を共有しています。長さの関係が名前から直接読み取れるため、計算がしやすい命名法です。
イギリス式の呼び名
イギリスでは semibreve、minim、crotchet、quaver という別系統の名前を使います。これらは中世の記譜法に由来する語で、分数の関係を示していません。全音符が semibreve(半分の breve)と呼ばれるのは、かつて breve というさらに長い音符が基準だったためです。英語の文献を読むときは、どちらの体系が使われているかを確認する必要があります。
4拍とは限らない
全音符が何拍になるかは拍子記号によって決まります。4分の4拍子なら4拍ですが、2分の2拍子なら2拍、8分の6拍子なら基準が違うため単純な対応になりません。「全音符は4拍」と覚えると拍子が変わったときに読み違えます。全音符は4分音符4つ分の長さである、と長さの関係で覚えるほうが確実です。
演奏のヒント
コントラバス
全音符を何小節も保つ持続音では、弓を使い切らないよう配分し、隣の奏者と弓を返すタイミングをずらす(分奏)ことで、音を途切れさせずに保てます。
この指示が使われる曲
ワーグナー「ラインの黄金」前奏曲
冒頭から変ホ長調の和音が136小節にわたって保たれる、長い持続音の例です。
2分音符は全音符の半分の長さです。白い符頭に符幹(棒)が付いた形で書かれ、4分の4拍子では2拍分になります。
符頭の色が長さを分ける
2分音符までは符頭が白(中が塗られていない)、4分音符から下は黒(塗りつぶし)です。この境目が、記譜上の大きな区分になっています。白い符頭に符幹が付いていれば2分音符、符幹がなければ全音符、黒い符頭に符幹が付いていれば4分音符です。符頭の色と符幹の有無の組み合わせで、3種類が見分けられます。
符幹の向き
符幹は、音符が五線の中央より下にあれば上向き、上にあれば下向きに書きます。中央の線上にある場合はどちらでも書けますが、前後の流れに合わせます。複数の声部が同じ五線にある場合は、声部ごとに向きを固定して書き分けます。この規則は2分音符に限らず、符幹を持つすべての音符に適用されます。
イギリス式の呼び名
イギリスでは minim と呼びます。ラテン語の minima(最小の)に由来し、かつてこれが最も短い音符だった時代の名残です。現在ではさらに短い音符が多数あるため、名前と実態が合っていない語になっています。
演奏のヒント
吹奏楽全般
アラ・ブレーヴェ(2分の2拍子)の楽譜では、4分音符ではなく2分音符を1拍として数えると、実際のテンポ感と体の動きが一致します。
この指示が使われる曲
スーザ「星条旗よ永遠なれ」
2分の2拍子(アラ・ブレーヴェ)で書かれた行進曲の代表例で、2分音符を1拍とする速い足取りを持つ作品として知られます。
4分音符は全音符の4分の1の長さです。黒い符頭に符幹が付いた形で、多くの曲で1拍の基準になります。
拍の基準として
4分の4、4分の3、4分の2といった拍子では、拍子記号の下の数字が4であり、4分音符が1拍の単位になります。メトロノーム記号も四分音符=120のように、この音符を基準に書かれることが多くあります。ただしこれは慣習であり、2分の2拍子なら2分音符が、8分の6拍子なら付点4分音符が拍の単位になります。
旗を持たない最も短い音符
4分音符には符幹がありますが、旗(はた)はありません。8分音符から旗が付き始め、16分音符では2本になります。したがって、旗があるかどうかが4分音符と8分音符以下を分ける目印になります。連桁(音符をつなぐ横線)で書かれる場合も、線の本数が旗の本数に対応します。
イギリス式の呼び名
イギリスでは crotchet と呼びます。フランス語の crochet(かぎ、フック)に由来する語です。ややこしいことに、現在のフランス語で croche は8分音符を指すため、同じ語源の語が国によって別の音符を指しています。英語の文献では、この語が出てきたら4分音符と読みます。
演奏のヒント
共通
メトロノーム記号が四分音符=120のように書かれている場合、その音符がそのまま1分間に鳴る回数を示します。実際にメトロノームを鳴らして体に速さを入れてから練習すると、テンポが安定します。
この指示が使われる曲
ベートーヴェンの交響曲のメトロノーム記号
ベートーヴェンは1817年に交響曲第1番〜第8番のメトロノーム記号を発表し、第9番にも後に記号を付けました。
8分音符は4分音符の半分の長さです。符幹に旗が1本付き、複数が続く場合は連桁(横線)でつないで書きます。
旗と連桁
単独で書くときは符幹の先に旗を1本付けます。複数の8分音符が続く場合は、旗の代わりに符幹の先を1本の横線(連桁)でつなぎます。連桁は見た目を整えるためだけではなく、どこまでが1拍かを示す役割を持ちます。4分の4拍子では、原則として1拍ずつ、あるいは2拍ずつまとめて連桁を掛けます。
連桁の掛け方が拍を伝える
同じ8つの8分音符でも、連桁の掛け方が違えば拍の感じ方が変わります。4つずつ2組に掛ければ2拍子的に、3つ・3つ・2つに掛ければ別のリズムとして読めます。楽譜を読むときは、連桁がどう掛かっているかを見ることで、作曲者が意図した拍の分け方が分かります。
イギリス式の呼び名
イギリスでは quaver と呼びます。「震える」という意味の語で、細かい音の連なりの印象から来ています。16分音符は semiquaver(半分の quaver)、32分音符は demisemiquaver となり、短くなるほど接頭辞が増えていきます。
演奏のヒント
共通
8分音符が連続する箇所は、1拍を2つに割る感覚を保つことが安定の鍵です。1拍ごとに数字を数えるより、拍の裏(オフビート)を感じながら弾くと、走ったり縮んだりしにくくなります。
この指示が使われる曲
ベートーヴェン 交響曲第5番 第1楽章
冒頭の動機は8分音符3つと、それに続く長い音という単純なリズムから成り立っています。
𝅘𝅥𝅯Sixteenth noteじゅうろくぶおんぷ
英語
16分音符
全音符の16分の1の長さで、4分の4拍子では1拍に4つ入ります。旗(はた)が2本、連桁の場合は2本の横線で示されます。速い楽章での細かい動きを担うことが多く、粒をそろえて弾けるかが技術的な課題になります。
16分音符は全音符の16分の1の長さで、4分の4拍子では1拍に4つ入ります。旗が2本、連桁の場合は2本の横線で示されます。
本数で長さが分かる
旗や連桁の本数が1本増えるごとに、音符の長さが半分になります。8分音符が1本、16分音符が2本、32分音符が3本です。したがって、細かい音符を読むときは本数を数えれば長さが確定します。速いパッセージでは音符の形を一つずつ判断するより、連桁の本数を見て単位を把握するほうが確実です。
粒をそろえる
16分音符が連続する箇所では、4つの音が均等に並んでいることが求められます。実際には、拍の頭の音が強く、指の弱い部分が担当する音が弱くなりがちです。ゆっくり練習して各音の音量と長さをそろえることが、この音符の技術的な課題になります。
付点との組み合わせ
付点8分音符+16分音符という組み合わせは頻出します。この場合、16分音符は拍の4分の1の位置に正確に置く必要があります。16分音符を早く出しすぎると3連符のように聞こえ、遅らせすぎると複付点のリズムに近づきます。付点の音を細かい単位に分解して数えるのが確実な方法です。
演奏のヒント
共通
速いパッセージほど、拍の頭の音を意識から外しがちです。16分音符4つのうち1音目だけをわずかに意識しておくと、粒が揃っていても拍の輪郭を失いません。
この指示が使われる曲
リムスキー=コルサコフ「熊蜂の飛行」
曲全体を通してほぼ途切れることなく16分音符が続く、この音符の代表的な使用例として知られます。
白い、2分音符
イタリア語で「白」。2分音符の通称で、正式な名称は minima です。
Bianca はイタリア語で「白」。2分音符(符頭が白抜きの音符)の通称です。
符頭の色による命名
イタリア語での2分音符の正式な名称は minima ですが、日常的には白抜きの符頭から bianca、4分音符を nera(黒)と呼ぶことがあります。
白い、2分音符
フランス語で「白」。2分音符を指します。イタリア語のBiancaに相当します。
Blanche はフランス語で「白い」を意味し、2分音符を指す呼び名です。イタリア語の bianca と同じ発想で、符頭が白抜きであることに由来します。
フランス式の音符名
フランス語の音符名は音価の分数ではなく符頭の色や形に基づいており、全音符は ronde(丸い)、2分音符は blanche(白い)、4分音符は noire(黒い)、8分音符は croche(かぎ)と呼ばれます。
短い、2倍全音符
現代では最も長い音符の一つですが、古楽では「短い」を意味しました。Alla breve等の言葉に残っています。
Breve は現代の記譜法で全音符の2倍の長さを持つ音符ですが、語源のラテン語 brevis は「短い」を意味します。
名前と長さが逆転した理由
中世の記譜法では、現在よりもさらに長い longa(ロンガ)や maxima(マキシマ)という音符が標準的に使われており、breve はそれらに対して「短い」音符でした。時代が下って音符の長さの基準が全体的に短くなった結果、breve は現存する音符の中で最も長い部類として残り、名前と実際の長さの関係が逆転しました。alla breve という用語名にも、この歴史的な名残が残っています。