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音楽用語辞典 & チューナー・メトロノーム

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変化記号 — シャープ・フラット・ナチュラル

sharp(♯)は音を半音高く、flat(♭)は半音低くし、natural(♮)はそれらの効果を打ち消します。double sharp(𝄪)と double flat(𝄫)は、半音2つ分(全音)上げ下げする記号です。

臨時記号

accidental(臨時記号)は、調号とは別に曲の途中で音の高さを変える記号で、効力はその小節の中の同じ高さの音に限られます。

異名同音とドイツ語の音名

enharmonic(異名同音)は、嬰ヘと変トのように名前が違って高さが同じ音の関係です。ドイツ語では音名に -is を付けると半音上がり、Cis は C の半音上(嬰ハ)を指します。

♯

Sharpシャープ

英語

嬰号、半音上げる

元の音を半音高くします。音楽に明るさや、上向きの緊張感を与えます。

Sharp(嬰記号、♯)は音を半音高くする変化記号。音符の前に置くと、その小節内の同じ高さの音すべてに効力が続きます。

効力の範囲

臨時記号としてのシャープは、置かれた小節が終わるまで有効です。次の小節には持ち越されません。五線の冒頭に調号として置かれた場合は、転調するまで曲全体に効力を持ちます。

ダブルシャープ

さらに半音(全音)高くする記号として double sharp(×)があり、異名同音の書き分けのために使われます。

混同しやすい用語

♭

Flatフラット

英語

変号、半音下げる

元の音を半音低くします。柔らかさや、落ち着いた情緒を生むことが多いです。

Flat(変号、♭)は音を半音低くする変化記号。効力の範囲や表記のルールはシャープと対になります。

記号の由来

シャープとフラットの記号はいずれもラテン文字 b に由来するとされます。中世の記譜法で「四角い b」(b quadratum)がナチュラル・シャープ系の記号へ、「丸い b」(b rotundum、b molle)がフラットの記号へと分かれて発展したことの名残です。

混同しやすい用語

♮

Naturalナチュラル

英語

本位、元の音に戻す

変化(♯や♭)していた音を本来の高さに戻します。迷いから醒めるような、清涼感のある響きをもたらすこともあります。

Natural(ナチュラル、本位記号)は、直前に付いていた変化記号(シャープやフラット)や調号の効果を打ち消し、音を幹音(変化していない元の高さ)に戻す記号。

効力の範囲

シャープやフラットと同様、本位記号も原則としてその小節内、同じ高さの音符に対して効果を持ち続ける。小節をまたぐと効果は自動的に失われ、次の小節で同じ変化が必要な場合は改めて記号を書き直す必要がある。

調号との関係

調号によってあらかじめシャープやフラットが指定されている音に対しても、本位記号はその効果を一時的に打ち消すために使われる。曲の途中で頻繁に調号と異なる音が必要になる場合、五線の見た目は本位記号とシャープ・フラットが混在した形になる。

混同しやすい用語

𝄪

Double sharpダブルシャープ

英語

半音2つ(全音)上げる

重嬰記号。

重嬰記号は、音を半音2つ分(全音)上げる臨時記号です。♯を2つ書く代わりに、x に似た形の記号を使います。

なぜ2つ上げる必要があるのか

ファを全音上げた音は、鍵盤の上ではソと同じ鍵です。それならソと書けばよいはずですが、そう書けない場合があります。たとえば嬰ト短調(G♯ minor)で導音を作るには、第7音のファ♯をさらに半音上げる必要があります。この音をソと書くと、音階の第7音であるべき音が第1音の名前になってしまい、音階の構造が読めなくなります。ファ♯♯(重嬰ファ)と書くことで、あくまで第7音を上げた音であることが保たれます。

記号の読み方

重嬰記号が付いた音は、調号の♯を含めた上でさらに半音2つ上げるのではなく、素の音名から半音2つ上げた高さになります。調号でファに♯が付いている調でファに重嬰記号が書かれていれば、その音はファから全音上、つまり鍵盤上のソです。臨時記号は調号を上書きします。

実際に出会う場面

♯の多い短調の曲で、導音を作るときに現れます。嬰ト短調、嬰ニ短調、嬰イ短調などです。見慣れない記号ですが、意味は単純で、そこが導音であることの合図として読めば混乱しません。

演奏のヒント

鍵盤楽器

重嬰記号を見たら、まず素の音名から半音2つ分の鍵盤上の位置を確認し、それが調号の中でどの音の代わりを果たしているかを確認してから弾くと、読み違いを防げます。

混同しやすい用語

この指示が使われる曲

バッハ「平均律クラヴィーア曲集」第1巻 第18番 嬰ト短調フーガ

嬰ト短調の導音(第7音)がファ♯をさらに半音上げた「重嬰ファ」にあたるため、重嬰記号が自然に現れる調の例です。

𝄫

Double flatダブルフラット

英語

半音2つ(全音)下げる

重変記号。

重変記号は、音を半音2つ分(全音)下げる臨時記号です。♭を2つ並べて書きます。

鍵盤上では隣の音と同じ

シを全音下げた音は、鍵盤の上ではラと同じです。それでも重変記号を使うのは、その音が音階の中で果たしている役割を保つためです。♭の多い調で音階の音を半音下げる必要が生じたとき、すでに♭が付いている音をさらに下げることになり、重変記号が必要になります。

和音の中での役割

減七の和音や増六の和音を書き表すとき、和音の構成音を3度の積み重ねとして正しく示すために重変記号が使われます。同じ響きを異名同音で書き換えれば記号は減りますが、その和音がどういう構造なのかが読み取れなくなります。記号の多さは、和声を正確に書くための代償です。

演奏上の要点

読むときは、まず素の音名から半音2つ下げた高さを確定させます。調号は臨時記号に上書きされるため、調号の♭と重ねて数える必要はありません。指の位置としては隣接する白鍵や黒鍵になることが多く、いったん実際の鍵を確認してから書き込んでおくと安全です。

演奏のヒント

鍵盤楽器

重変記号が出てきたら、鍵盤上ではどの鍵にあたるかをまず確認し、その上で楽譜上どの音の役割(和音の第何音か)を担っているかを意識すると、指の位置と読譜が食い違いません。

混同しやすい用語

♪

Accidentalりんじきごう

英語

臨時記号

調号とは別に、曲の途中で音の高さを一時的に変える記号。シャープ、フラット、ナチュラルなどがあります。効力はその小節の中だけで、小節線を越えると元に戻ります。同じ小節内の同じ高さの音にはすべて適用される点に注意が必要です。

臨時記号は、調号とは別に、曲の途中で音の高さを一時的に変える記号です。効力の範囲を誤解すると読み間違いにつながります。

効力はその小節の中だけ

臨時記号が有効なのは、それが書かれた小節の中だけです。小節線を越えると効力が切れ、調号の状態に戻ります。同じ小節内であれば、同じ高さの音すべてに適用されます。1拍目でファに♯が付いていれば、その小節の3拍目のファも♯です。ここで♯を付け忘れて読むのが、最もよくある読譜の誤りです。

オクターブ違いには適用されない

臨時記号は「その高さの音」に効きます。したがって、1オクターブ上や下の同名の音には適用されません。実際の楽譜では混乱を避けるため、必要なオクターブに改めて記号を書き添えることが一般的です。

親切記号

効力が切れているにもかかわらず、念のために書かれる記号があります。小節をまたいだ直後や、直前の小節で臨時記号が付いていた音に対して、♮ を書いて元に戻ったことを明示する場合です。規則上は不要ですが、読み間違いを防ぐために置かれます。括弧に入れて書かれることもあります。

タイで小節を越えた場合

臨時記号の付いた音がタイで次の小節へつながっている場合、その音は臨時記号の高さを保ちます。ただし、そのタイが切れた後に同じ高さの音が改めて出てきたときは、効力は残りません。この箇所は誤読が起きやすいため、慎重な楽譜では改めて記号が書かれます。

演奏のヒント

共通

臨時記号は同じ小節・同じ高さの音にのみ有効です。オクターブ違いの同名音には効力が及ばないため、初見では特に注意します。

混同しやすい用語

♪

Enharmonic異名同音

英語

名前は違うが音の高さは同じ

C#とDbのように、文脈で役割が変わります。

Enharmonic(異名同音)は、名前が違うのに実際の高さが同じ音のこと。嬰ヘと変トは、ピアノでは同じ鍵盤です。

同じ音でも意味が違う

平均律の鍵盤楽器では嬰ヘと変トは同じ音ですが、和声的な意味はまったく異なります。嬰ヘは上へ解決したがる音、変トは下へ解決したがる音です。作曲家がどちらで書いたかは、その音がどこへ向かうかを示しています。演奏でも、上行するなら少し高め、下行するなら少し低めに取ると、方向性が伝わります。

転調の抜け道になる

異名同音は、遠い調へ移るための橋渡しとして使われます。ある和音を異名同音として読み替えることで、まったく別の調の和音として機能させられるためです。とくに減七の和音は、読み替えによってどの調へも進めるため、劇的な転調の道具として重用されてきました。

平均律だから成立する

異名同音が完全に同じ高さになるのは、オクターブを12等分した平均律においてです。純正律や中全音律では嬰ヘと変トは異なる高さを持ち、区別されていました。鍵盤楽器が平均律に統一されたことで、あらゆる調が使えるようになった一方、この微細な差は失われました。

演奏のヒント

ピアノ

物理的に同じ鍵盤なので、読み替えは記譜上の問題です。どちらで書かれているかが解釈の手がかりになります。

弦楽器

音程を自由に取れるため、方向性に応じて微調整できます。上行の嬰音は高め、下行の変音は低めが目安です。

合唱

純正な響きを狙う場合、異名同音を区別して歌うことで和音がより溶け合います。

混同しやすい用語

♪

Cisシス

ドイツ語

嬰ハ音

C#(ハ音の半音上)。ドイツ語では音名に -is を付けると半音上がり、-es を付けると半音下がります。

Cis はドイツ語の音名で、C の半音上(英語の C sharp)を指します。ドイツ語の音名体系は英語と規則が違い、そこを知らないと楽譜や文献が読めません。

-is と -es という語尾

ドイツ語では、音名に -is を付けると半音上がり、-es を付けると半音下がります。C→Cis(C♯)、D→Dis(D♯)、C→Ces(C♭)、D→Des(D♭)という具合です。母音で終わる音名では綴りが縮まり、E→Es(E♭)、A→As(A♭)になります。英語のように sharp / flat という別の語を添えるのではなく、音名そのものが変化するのが特徴です。

H と B の入れ替わり

ドイツ語で最も混乱するのがここです。英語の B(シ)はドイツ語では H、英語の B♭ はドイツ語では B と呼ばれます。したがってドイツ語文献の「B」は英語の「B♭」を指します。バッハの名前 B-A-C-H を音にすると B♭・A・C・B となり、この4音がそのまま主題として使えるのは、この命名法があるためです。

重変化

半音2つ上げる場合は -isis、2つ下げる場合は -eses を付けます。Cisis(C の重嬰)、Ceses(C の重変)です。英語の double sharp / double flat に対応します。

どこで出会うか

ドイツ語圏の楽譜の調性表示、作品目録、音楽学の文献でこの体系が使われます。調名では長調が Dur、短調が Moll なので、「cis-Moll」は嬰ハ短調を指します。調名の表記では長調を大文字、短調を小文字で始める慣習があります。

演奏のヒント

共通

ドイツ語文献で調名を見たときは、まず H と B を英語式に読み替えてから確認する習慣をつけると、思わぬ読み違いを防げます。

混同しやすい用語

この指示が使われる曲

ベートーヴェン ピアノソナタ第14番「月光」

嬰ハ短調(cis-Moll)で書かれた作品で、ドイツ語文献ではこの表記で呼ばれます。

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