Larghissimo
ラルギッシモ ・ イタリア語
極めて幅広く、非常に遅く
全用語の中で最も遅い速度。深遠な沈黙や、果てしない広がりを感じさせる宗教的な場面でしばしば登場します。
→ Larghissimo の詳しい解説を読む音楽用語辞典 & チューナー・メトロノーム
101語を掲載(うち41語は詳しい解説ページつき)
Allegro を「速く」とだけ覚えると、たいてい演奏は上滑りします。イタリア語の allegro は本来「陽気な、快活な」という意味の形容詞で、速度はその性格に付随する結果です。速度用語の多くは、テンポの数値ではなく音楽の気分を指定しています。
Allegro(陽気に)、Vivace(生き生きと)、Grave(重々しく)、Maestoso(荘厳に)は、いずれも性格を表す形容詞です。一方 Presto(急いで)、Lento(遅く)は速度そのものを指します。この区別は実際の演奏に影響します。Allegro con brio を「速く、しかも生気をもって」と読むと二重に速くしてしまいますが、「陽気に、活気をもって」と読めば、テンポではなく発音の輪郭やアクセントの立て方で応えることになります。
4語とも「遅く」と訳されますが、指しているものが違います。Lento は速度そのもの。Largo は「幅広く」で、空間的な広がりを指し、必ずしも最も遅いわけではありません。Adagio は ad agio(気楽に、くつろいで)が語源で、緊張が解けた状態を指します。Grave は「重々しく」で、深刻さと足取りの重さを伴います。Adagio を「とにかく遅く」と解釈すると、くつろぎではなく停滞になってしまう、という具合に、解釈の方向がそれぞれ違います。
遅い楽章が間延びして聞こえるとき、原因はテンポそのものではなく拍の感じ方にあることがほとんどです。4分音符が遅いとき、頭の中で8分や16分に分割して数えていないと、音と音のあいだで時間の感覚が失われます。分割して感じれば、長い音の中にも進行が生まれ、同じテンポでも停滞ではなく落ち着きとして聞こえます。逆に速い楽章では、1拍ずつ数えずに2小節や4小節をひとまとまりとして感じるほうが、音楽が前に進みます。
Ritardando と Rallentando はどちらも「だんだん遅く」ですが、ritardare は「遅らせる」、rallentare は「速度を落とす」という語感の違いがあります。実務的には、rit. は終止に向けて意図的にブレーキをかける場面、rall. は緊張がゆるんで自然に落ちていく場面で使われることが多い、と捉えておくと迷いません。どちらの場合も重要なのは、いつ元のテンポに戻るかです。a tempo や Tempo I が書かれている位置を先に確認してから、そこまでの距離に応じて減速の配分を決めます。
♩=120 のようなメトロノーム記号は、作曲家が付けた場合と、後の校訂者が付けた場合があります。版によって数値が違うのはそのためです。またベートーヴェンのメトロノーム記号のように、額面どおりでは演奏困難とされる例もあります。数値は「作曲家が考えていた性格の目安」として使い、実際のテンポは楽器・編成・会場の響きに合わせて決めるのが現実的です。響きの長いホールでは、同じ数値でも速く聞こえすぎることがあります。
ラルギッシモ ・ イタリア語
極めて幅広く、非常に遅く
全用語の中で最も遅い速度。深遠な沈黙や、果てしない広がりを感じさせる宗教的な場面でしばしば登場します。
→ Larghissimo の詳しい解説を読むラルゲット ・ イタリア語
やや幅広く、Largoより少し速く
Largoの重厚さを保ちつつ、わずかに動きを感じさせる速度。上品な落ち着きがあります。
→ Larghetto の詳しい解説を読むアダージョ ・ イタリア語
ゆるやかに、くつろいで
語源は「ad agio (楽に)」。緊張から解かれ、リラックスした深いくつろぎを表現するための速度です。
→ Adagio の詳しい解説を読むアダージェット ・ イタリア語
やや速く
Adagioよりもわずかに歩みを進めた速度。マーラーの「アダージェット」のように、深い情愛と動きを共存させます。
→ Adagietto の詳しい解説を読むアンダンティーノ ・ イタリア語
Andanteより少し速く
「小さなアンダンテ」。Andanteよりも少し軽やかで、気軽な散歩のようなニュアンスを含みます。
→ Andantino の詳しい解説を読むアレグレット ・ イタリア語
やや速く、軽やかに
Allegroほどの激しさはないものの、弾むような楽しさと明るさを持った速度です。
→ Allegretto の詳しい解説を読むアレグロ ・ イタリア語
速く、陽気に、快活に
語源は「喜び、陽気」。単なるスピード指定ではなく、音楽がポジティブな活力に満ちている状態を指します。
→ Allegro の詳しい解説を読むプレスティッシモ ・ イタリア語
可能な限り速く、最高速で
限界を超えたスピード。聴き手を圧倒しきって幕を閉じる終曲などで多用されます。
→ Prestissimo の詳しい解説を読むラレンタンド ・ イタリア語
だんだん遅く
rit.よりも心の中の緊張がゆるみ、自然に速度が落ちていくような、穏やかな変化に使われます。
→ Rallentando の詳しい解説を読むアッチェレランド ・ イタリア語
だんだん速く
徐々にギアを上げていくような加速。興奮や緊張感の増大を演出し、エネルギーを蓄積させます。
→ Accelerando の詳しい解説を読むテンポ・プリモ ・ イタリア語
最初の速さで
途中でどんなに速度が変わっても、その楽曲(または楽章)の冒頭で示されたテンポを再現します。
→ Tempo Primo の詳しい解説を読むメノ・モッソ ・ イタリア語
今までより遅く、動きを抑えて
「meno (より少なく)」。急に落ち着きを取り戻したり、内省的なメロディに切り替わる際に指定されます。
→ Meno mosso の詳しい解説を読むピュ・モッソ ・ イタリア語
今までより速く、躍動させて
「più (より多く)」。一気に場面が華やいだり、緊張が加速したりする場面で使われる対比的な指示です。
→ Più mosso の詳しい解説を読むストリンジェンド ・ イタリア語
次第に速く、追い込んで、せき立てて
「締め付ける」が原義。緊迫感を高めながら加速し、クライマックスへと一気に突き進みます。
→ Stringendo の詳しい解説を読むアラルガンド ・ イタリア語
だんだん遅く、幅広く、堂々と
速度を落としながらも音量を増し、壮大な終結部を形作る際に非常に重要な指示です。
→ Allargando の詳しい解説を読むテンポ・ジュスト ・ イタリア語
正確な速さで、ふさわしい速度で
特定の指示がない場合でも、その曲の持つ性格に最も合致した、安定したテンポを要求します。
→ Tempo giusto の詳しい解説を読むルバート ・ イタリア語
自由な速さで、音の長さを伸縮させて
原義は「盗まれた」。基本の拍子感から旋律の音を少しずつ「盗み」、他で補うことで、感情に沿った自然な揺らぎを生みます。
→ Rubato の詳しい解説を読むシュネル ・ ドイツ語
速く
ドイツ語でのAllegroに相当。シューマンやブラームスの作品で、ドイツ語特有の力強さを伴って指示されます。
ラングザム ・ ドイツ語
遅く
ドイツ語でのLentoに相当。深い思考や沈黙を重んじるドイツ音楽の真髄を感じさせる速度です。
モルト ・ イタリア語
非常に、大いに
「Molto Allegro(非常に速く)」のように使い、主となる指示の度合いを一段階強めます。
アッサイ ・ イタリア語
十分に、非常に
「Allegro assai(十分に速く)」など。音楽の持つ性格を最大限に引き出すことを強調します。
ノン・トロッポ ・ イタリア語
甚だしくなく、すぎないように
「Allegro ma non troppo(速く、しかし速すぎないように)」など、行き過ぎた表現にブレーキをかける重要な補足です。
ポーコ ・ イタリア語
少し、わずかに
「Poco accel.(わずかに加速)」など。急激な変化ではなく、繊細なニュアンスの微調整を指定します。
コン・モート ・ イタリア語
動きを持って
「Andante con moto」のように。遅い速度であっても、停滞せずに一定の推進力を保つことを促します。
→ Con moto の詳しい解説を読むヴェローチェ ・ イタリア語
速く、速やかに
機械的なスピード感や、滑らかな経過句を一気に走り抜けるような感覚で使われます。
ソレチタンド ・ イタリア語
急いで、せき立てて
時間に追われているような切迫感。テンポを少しずつ上げ、緊張の度合いを高めます。
アダージョ・レリジオーゾ ・ イタリア語
非常に遅く、宗教的な雰囲気で
荘重なテンポの中に、祈りを捧げるような静逸な美しさを込めます。深く、透明感のある響きが求められます。
アッフレッタンド ・ イタリア語
急いで、せき立てて
「affrettare (急がせる)」。次第に速度を増し、緊張感を高めていくニュアンス。accel.よりも心理的な焦りを含みます。
バットゥータ ・ イタリア語
拍、拍子、打ち方
「A battuta (正確な拍子で)」。rit.の後などで、厳格なリズムに戻るよう指示します。
ベレープト ・ ドイツ語
命を吹き込まれた、活発な
Animatoに相当。音楽に活気と弾みを与え、場面を瑞々しく転換させます。
ア・ベーネ・プラーチト ・ イタリア語
演奏者の自由な速度で
Ad libitumと同義。拍に縛られず、音楽的な呼吸に合わせて表現することを許容します。
ア・カプリッチョ ・ イタリア語
気ままに
形式や規則を離れ、その瞬間のインスピレーションに従って自由に変化させることを指定します。
アド・リビトゥム ・ ラテン語
自由に、望みのままに
テンポだけでなく、楽器の追加や省略、カデンツァの挿入など、広範な自由が認められます。
→ Ad libitum の詳しい解説を読むテンポ ・ 英語
速さ、拍の速度
音楽の歩調。1分間に刻む拍数(BPM)で正確に表されることもあります。
メーシック ・ ドイツ語
適度に、中くらいの速さで
Moderatoに相当。極端な遅さや速さを避け、自然で落ち着いた歩みを保ちます。
ベヴェークト ・ ドイツ語
動きを持って、生き生きと
Con motoやAnimatoに相当。音楽に心地よい揺らぎと、生命力を与えます。
ルーイヒ ・ ドイツ語
静かに、安らかに
Tranquilloに相当。波風の立たない、安定したテンポと心の平穏を保ちます。
メーノ ・ イタリア語
より少なく
「Meno mosso (より遅く)」のように、前のテンポより遅くすることを指示します。
ピウ ・ イタリア語
より多く
「Più mosso (より速く)」のように、前のテンポより速くすることを指示します。
マ・ノン・トロッポ ・ イタリア語
しかしはなはだしくなく
「Allegro ma non troppo (速く、しかし速すぎずに)」のように、極端な表現を避けることを指示します。
テンポ・コモド ・ イタリア語
快適な速さで
演奏者が心地よいと感じる、無理のないテンポで演奏することを指示します。
リステッソ・テンポ ・ イタリア語
同じ速さで
拍子が変わっても、拍の速さは変えないことを指示します。
コモン・タイム ・ 英語
4分の4拍子
最も一般的な拍子。4分音符を1拍とする4拍子です。
カット・タイム ・ 英語
2分の2拍子
Alla breveと同義。速いテンポで、2拍子のように感じられるように演奏します。
ツーネーメント ・ ドイツ語
次第に強く、あるいは速く
CrescendoやAccelerandoに相当。持続的なエネルギーの増大を指示します。
ラン ・ フランス語
遅く
イタリア語のLento。フランス近代音楽特有の、響きの移ろいをじっくり味わうような遅さです。
モデレ ・ フランス語
中くらいの速さで
Moderato。行き過ぎない、節度ある上品な歩みを保ちます。
ヴィフ ・ フランス語
快速に、生き生きと
Vivace。光が反射するような鋭いキレと、素早い動きが求められます。
アニミェ ・ フランス語
活気を持って
イタリア語のAnimato。色彩豊かに、次々と場面を転換させていく躍動感です。
グラン・パウザ ・ ドイツ語
総休止
オーケストラ全員が同時に休止します。突然の静寂が、直後の爆発的な響きを際立たせます。
センツァ・テンポ ・ イタリア語
自由なテンポで
厳格な拍子(インテンポ)に縛られず、音楽の呼吸に合わせて自在に演奏します。
メトロノーム記号 ・ 英語
具体的な速さの数値
1分間に刻む拍の数(BPM)を数値で示します。作曲家の意図を客観的に伝える基準です。
アッラ・テデスカ ・ イタリア語
ドイツ風に
ドイツ的な素朴で真面目な、あるいはレントラー(舞曲)のようなリズム感を指します。
アッラ・ツィンガレーゼ ・ イタリア語
ジプシー(ロマ)風に
情熱的な即興、急激なテンポ変化、哀愁漂う旋律など、ロマ音楽の自由奔放なスタイルです。
メトロノミック ・ 英語
メトロノームのように正確なテンポで
機械的な冷徹さ、あるいは揺るぎない安定感を表現するために、正確無比な拍を刻みます。
アゴーギク ・ ギリシャ語/ドイツ語
旋律の表情による自然な緩急
楽譜にはないが、音楽的な強調のために微調整されるテンポ変化。演奏者のセンスが光る部分です。
ラルガメンテ ・ イタリア語
幅広く、堂々と、ゆったりと
Largoの精神を保ちつつ、フレーズ全体を大きく、抱擁力のある豊かな響きで包み込みます。
トレ・ヴィト ・ フランス語
とても速く
ドビュッシーやラヴェルの作品で見られる、フランス流の敏敏な速さ。
アッセ・ヴィト ・ フランス語
十分に速く
適度な快活さ。Allegroに近いニュアンスです。
トレ・ラン ・ フランス語
とても遅く
深い静寂と広がりを伴う、極めて遅いテンポ。
エトヴァス・ベヴェークト ・ ドイツ語
いくぶん動いて
Andante con motoに近い、停滞しない動き。
アル・リゴーレ・ディ・テンポ ・ イタリア語
厳格なテンポで
ルバートを禁じ、拍を正確に刻む。
コッラ・パルテ ・ イタリア語
主声部と一緒に
ソリストの自由なテンポに合わせる指示。
コメ・プリマ ・ イタリア語
最初のように
Tempo Primoと同様。
アン・セラン ・ フランス語
せき立てて
Stringendoと同義。
アッチェレラート ・ イタリア語
速くなった
Accelerandoの完了状態。
アフレットーゾ ・ イタリア語
急いだ、せっかちな
落ち着きのない速さ。
コル・カント ・ イタリア語
歌に合わせて
伴奏者が歌の方にテンポを任せる。
コモダメンテ ・ イタリア語
心地よく、適宜に
ゆとりあるテンポ。
コン ... ・ イタリア語
いきいきと
Vivaceと同等の活気。
フィナルマン ・ フランス語
ついに、最後に
終結部での指示。
グラーヴマン ・ フランス語
荘重に
重々しい遅さ。
カルカンド ・ イタリア語
せき立てて、追い込んで
加速しながら緊張を高める。
アン・プレッサン ・ フランス語
急いで、せき立てて
加速を要求するフランス語の表現。
グラーヴェメンテ ・ イタリア語
荘重に、深刻に
Graveの副詞形。重みを伴う。
ドッピオ・モヴィメント ・ イタリア語
2倍の速さで
それまでのテンポを正確に2倍の速さへ切り替える指示。単なる加速ではなく明確な倍速を示す。
テンポ・ディ・マルチャ ・ イタリア語
行進曲のテンポで
規則正しい足取りを思わせる、行進曲にふさわしい速度を示す。
テンポ・ディ・ヴァルス ・ イタリア語
ワルツのテンポで
3拍子の優雅な舞踏を思わせる速度を示す。
スレンタンド ・ イタリア語
次第に遅く、緩めて
Rallentandoと近い意味で、徐々に速度を緩めていくことを示す。