🎵 おんがく手帳

音楽用語辞典 & チューナー・メトロノーム

強弱の音楽用語

40語を掲載(うち36語は詳しい解説ページつき)

強弱記号は「音量つまみ」ではない

p や f は音量の絶対値ではありません。同じ f でも、独奏曲と管弦楽曲、バロックとマーラーではまったく別の音量です。強弱記号が実際に指定しているのは、音量そのものよりも「音の質」と「前後との関係」です。

絶対値ではなく相対値

ppp から fff まで段階があると、つい8段階の音量目盛りのように考えたくなります。しかし実際には、その曲・その楽器・そのホールの中での相対的な位置づけしか意味しません。ベートーヴェンのピアノソナタの ff と、マーラーの交響曲の ff は物理的にまるで違う音量です。判断の基準になるのは、直前直後に何が書かれているか。同じ楽章の中で f が一度しか出てこないなら、それは頂点として扱われます。

弱い指示ほど技術を要求している

p や pp は、力を抜けば出るものではありません。音量を落とすと、多くの楽器では音の芯や輪郭が同時に失われます。しかし pp が求めているのは「聞こえにくい音」ではなく「小さいのに届く音」です。弦楽器なら弓の速度と圧のバランス、管楽器なら息のスピードを落とさずに量だけ減らすこと、ピアノなら打鍵の速度を落としつつ底までコントロールすること。強い指示より弱い指示のほうが、はるかに技術的な難度が高いのが普通です。

crescendo は到達点から逆算する

クレッシェンドで最もよくある失敗は、書き出しから強くしてしまい、途中で行き場がなくなることです。クレッシェンドは「今から強くする」という指示ではなく、「どこかに到達する」という指示だと考えてください。まず終点の音量を確認し、そこから逆算して開始点をどこまで落とすかを決めます。長いクレッシェンドほど、前半は動かさずに我慢するほうが結果的に大きく聞こえます。poco a poco(少しずつ)が添えられている場合はなおさらです。

突然の変化を指す記号

sf・sfz・fp・rfz は、持続的な強弱ではなく一点の出来事を指します。混同しやすいのですが、sf(sforzando)はその音だけを周囲より際立たせる指示で、絶対的な強さではありません。p の中の sf は、f の中の sf よりずっと小さい音です。fp は強く入って即座に弱くする指示で、モーツァルトやベートーヴェンで劇的な効果を生みます。rfz(rinforzando)は一点ではなくフレーズ単位の補強で、sf より持続的なニュアンスを持ちます。

書かれていない強弱

バロック期の楽譜には強弱記号がほとんど書かれていません。これは「一定に弾け」という意味ではなく、当時は演奏者が判断するのが当たり前だったためです。同様に、記号が書かれていない箇所でも、フレーズの形(上行するか下行するか)や和声の緊張度に応じた自然な増減は前提とされています。強弱記号は「そこだけ特別に指定した点」であって、記号のない場所が平坦であるべきという意味ではありません。

強弱の用語一覧

ppp

Pianississimo

ピアニッシッシモ ・ イタリア語

できるだけ弱く

物理的な音量の限界としての弱音。単に小さな音というだけでなく、聴衆が息を呑むような「静寂の緊張感」を表現します。

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pp

Pianissimo

ピアニッシモ ・ イタリア語

とても弱く

非常に繊細で、遠くから聞こえてくるような響き。楽器の音色をコントロールし、芯のあるピアニッシモを目指すのが美しく聴かせるコツです。

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p

Piano

ピアノ ・ イタリア語

弱く

穏やかな音色。イタリア語で「平らな」という意味もあり、尖ったところのない、落ち着いた柔らかな響きを要求されます。

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mp

Mezzo Piano

メゾピアノ ・ イタリア語

少し弱く

「半分(半分程度)のピアノ」。優しさの中に、意志や方向性を持たせた表現に向いています。

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mf

Mezzo Forte

メゾフォルテ ・ イタリア語

少し強く

心地よい日常の話し声程度の強さ。アンサンブルにおいて、他の楽器と調和を取りやすい中心的な音量です。

→ Mezzo Forte の詳しい解説を読む
f

Forte

フォルテ ・ イタリア語

強く

内面から溢れ出すエネルギーや、確固たる意志。単に力ませるのではなく、楽器全体を鳴らすオープンな響きが理想です。

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ff

Fortissimo

フォルティッシモ ・ イタリア語

とても強く

聴衆を圧倒する輝かしい響き。重厚感と広がりを伴う、オーケストラのクライマックスで多用される強さです。

→ Fortissimo の詳しい解説を読む
fff

Fortississimo

フォルティッシッシモ ・ イタリア語

できるだけ強く

極限の音量。肉体的なパワーだけでなく、爆発的な感情の昂りを表現するために用いられます。

→ Fortississimo の詳しい解説を読む
<

Crescendo

クレッシェンド ・ イタリア語

だんだん強く

物語が核心に迫るような高揚感を作ります。最終的な目標となる音量から逆算して、段階的に強めていくのがポイントです。

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>

Decrescendo

デクレッシェンド ・ イタリア語

だんだん弱く

緊張が解き放たれ、静寂へと向かうプロセスの表現。ただ音を下げるだけでなく、響きの密度を保ったままフェードアウトさせる技術が求められます。

→ Decrescendo の詳しい解説を読む
dim.

Diminuendo

ディミヌエンド ・ イタリア語

だんだん弱く

音を「減じさせる」。音楽が静かに閉じられる場面や、次のフレーズへ優しく繋ぐ際に使用されます。

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sfz

Sforzando

スフォルツァンド ・ イタリア語

その音だけ強く

不意の衝撃や、強い心理的なアクセント。周囲とのコントラストを明確にすることで、音楽に躍動感を与えます。

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fp

Forte Piano

フォルテピアノ ・ イタリア語

強く、すぐに弱く

鋭いアタックの直後に、影に隠れるような急激な変化。モーツァルトやベートーヴェンの作品で劇的な効果を生みます。

→ Forte Piano の詳しい解説を読む
rfz

Rinforzando

リンフォルツァンド ・ イタリア語

急に強く、目立たせて

フレーズ全体を一時的に補強するように強調します。sfzよりも「持続する強調」というニュアンスがあります。

→ Rinforzando の詳しい解説を読む
fz

Forzato

フォルツァート ・ イタリア語

強調して

特定の音に重みを乗せ、聴き手の耳に残るように際立たせます。

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sfzp

Sforzato Piano

スフォルツァート・ピアノ ・ イタリア語

アクセント後、即座に弱く

雷のような鋭いアタックの後に、一転して霧の中に消えるような変化。非常に高度な表現です。

pf

Poco Forte

ポーコ・フォルテ ・ イタリア語

少し強く

mfに近いが、より「前へ出る」明るい質感が求められることが多い指示です。

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calando

Calando

カランド ・ イタリア語

弱めながら遅く

音量だけでなく「生命力」が衰えていくような感覚。終局へ向かう際の切ない表現によく使われます。

→ Calando の詳しい解説を読む
morendo

Morendo

モレンド ・ イタリア語

絶え入るように

文字通り「死にゆく」イメージ。音が完全に消え去り、静寂が音楽の一部になる瞬間を演出します。

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smorz.

Smorzando

スモルツァンド ・ イタリア語

消えゆくように

音を和らげ、勢いを静めていく。緊張から緩和へと向かう際に、なだらかな変化を与えます。

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perd.

Perdendosi

ペルデンドシ ・ イタリア語

消えゆくように

「見失う、道に迷う」が原義。音がぼやけていき、どこへ消えたかわからなくなるような幻想的な効果。

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sotto voce

Sotto voce

ソット・ヴォーチェ ・ イタリア語

声をひそめて

秘密を打ち明けるような、内性的で抑えられた響き。直接的な表現を避けたい深い感情の場面で使われます。

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m.v.

Mezzo voce

メゾ・ヴォーチェ ・ イタリア語

半分の声で

適度な抑制。歌いすぎず、少し距離を置いたような客観的な美しさを伴って響かせます。

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♪

Al niente

アル・ニエンテ ・ イタリア語

無になるまで

niente(ゼロ)の状態へ。最後の一音が聞こえなくなった後も、余韻を保ち続けることが大切です。

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♪

Dal niente

ダル・ニエンテ ・ イタリア語

無から徐々に

静寂の中から、いつの間にか音が生まれてきたように。開始のタイミングを悟らせない繊細なアタックが必要です。

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p.a.p.

Poco a poco

ポーコ・ア・ポーコ ・ イタリア語

少しずつ、徐々に

他の指示と組み合わされ(例:cresc. p.a.p.)、非常に長い時間をかけて変化を起こすことを要求します。

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n

Niente

ニエンテ ・ イタリア語

無、ゼロ

現代音楽などで、音量を完全に無くす、あるいはゼロから始める指示として使われます。

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sub.

Subito

スビト ・ イタリア語

すぐに、急に

sub. p(急に弱く)などの形で、予兆のない突然の変化を指定し、聴衆をハッとさせます。

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♪

Aumentando

アウメンタンド ・ イタリア語

増しながら、強くしながら

Crescendoと同義だが、より「増大していく」という物理的なニュアンスを含みます。

f/p

Dynamics

ダイナミクス ・ 英語

強弱法、音量の変化

小さなささやきから大きな叫びまで。感情の起伏を音量の変化で克明に描きます。

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♪

Leise

ライゼ ・ ドイツ語

静かに、弱く

Pianoに相当。周りの空気を静めるような、控えめながらも存在感のある弱音です。

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♪

Fort

フォール ・ フランス語

強く

Forte。フランス語の発音のように、少し鼻にかかったような響きの厚みを持たせることもあります。

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♪

Sotto piano

ソット・ピアノ ・ イタリア語

極めて弱いピアノ

単なる弱音ではなく、底の方から響くような、重みと奥深さを伴うピアニッシモです。

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f/p

Terraced dynamics

段丘強弱法 ・ 英語

階段状の強弱変化

バロック時代のオルガンやチェンバロに見られる、中間奏法のない「いきなりの強弱交代」。対比を鮮明にします。

→ Terraced dynamics の詳しい解説を読む
♪

Mezza voce

メッザヴォーチェ ・ イタリア語

半分の声で。抑えた声量で歌う指示

完全な弱音ではなく、感情を込めながら声量を絞る、声楽特有のニュアンス。

♪

Quasi niente

クワジ・ニエンテ ・ イタリア語

無に近いほどに。消え入るような極小の音量

nienteそのものではなく、ぎりぎり聞こえる限界の音量を求める指示。