Bridge passage
推移部
意味
主題と主題を繋ぐ転調箇所
解説
ある場所から別の場所へ向かう「橋」。これから何が起こるか期待を煽る役割があります。
音楽用語辞典 & チューナー・メトロノーム
推移部
主題と主題を繋ぐ転調箇所
ある場所から別の場所へ向かう「橋」。これから何が起こるか期待を煽る役割があります。
橋渡しの部分は、主題と主題のあいだをつなぐ箇所です。多くの場合、調を移す役割を担います。
ソナタ形式の提示部では、第1主題と第2主題が別の調で提示されます。この2つのあいだに置かれ、調を移す部分が推移部(ブリッジ)です。単に橋渡しをするだけでなく、次に何が来るかを準備し、期待を作る役割も持ちます。
この部分には記憶に残る旋律が置かれないことが多くあります。走句や音型の反復で構成され、和声が動いていくことが主な内容です。したがって聴き手にとっては、主題の合間の移動として通過されます。ただしここでの和声の動きが、到達する調をどれだけ待たせるかを決めます。
主題ではないため、そこで表情を作りこむと構造が崩れます。一方で機械的に流すと、到達したときの効果が生まれません。どこへ向かっているかを示し、緊張を保ちながら進むという扱いになります。到達点である新しい調の主題が現れる瞬間が、この部分の目的です。
ポピュラー音楽では、bridge は別の意味で使われます。A メロと B メロの反復に対して、それらとは異なる素材を持つ部分を指します。クラシックの推移部が調の移動を主とするのに対して、こちらは対比を作る部分です。同じ語が別のものを指すため、文脈の確認が必要です。
ピアノ
推移部で和声が動いていく箇所では、到達点の調がまだ聞こえていない段階から、そこへ向かう緊張を音量や打鍵のわずかな変化で示しておくと、新しい主題が現れた瞬間の効果が際立ちます。
ベートーヴェン ピアノソナタ第21番「ヴァルトシュタイン」第1楽章
当時の慣習であれば属調(ト長調)に進むはずの第2主題を、そこから離れたホ長調に導く推移部を持つ作品です。第74〜77小節あたりでホ短調へ和声の中心を移し、そこからホ長調の第2主題へ橋渡しする書法は、この後期の作品にも受け継がれました。