🎵 おんがく手帳

音楽用語辞典 & チューナー・メトロノーム

← 辞典にもどる

Deceptive cadence

ぎしゅうし

理論 🌐 英語

意味

偽終止(V-VI)

解説

属和音から主和音へ進むと思わせて、別の和音(多くは VI)へ進む終止。「終わる」と身構えた聴き手の予想を裏切ることで、曲をさらに引き延ばしたり、意外性を演出したりします。終結部を長くしたい場面で効果的です。

偽終止は、属和音から主和音へ進むと思わせて別の和音へ進む終止です。多くの場合、進む先は VI の和音です。

予想を利用する仕組み

属和音が鳴れば次に主和音が来る、という予想が聴き手の中に成立しています。この予想を外すことが偽終止の効果です。ハ長調でソ・シ・レ(+ファ)からラ・ド・ミへ進むと、主和音と2音を共有しながら短三和音になるため、着地したのに落ち着かないという状態になります。

曲を引き延ばす

終わるはずの場所で終わらなかったため、音楽は続きを必要とします。この性質を使って、終結部を長くしたり、もう一度クライマックスを作ったりします。終わりそうな箇所が何度も続く終結部は、この操作が繰り返されている場合があります。

演奏上の要点

聴き手が主和音を予想していることが前提の箇所です。したがって、そこまでは完全終止へ向かうつもりで進め、和音が変わった瞬間に音色や重心を変えると、予想が外れたことが伝わります。最初から違う和音が来ると分かっているように弾くと、効果が消えます。

呼び名

英語では interrupted cadence(イギリス)や deceptive cadence とも呼ばれます。V から VI への進行を指す場合に interrupted、より広く予想を外す終止を指す場合に deceptive を使う例がありますが、用語の範囲は文献によって異なります。

演奏のヒント

共通

偽終止の直前で、聴き手(自分自身も含む)が完全終止を予期するように、少しテンポを落として「終わりそうな」空気を作ると効果が際立ちます。

混同しやすい用語

この指示が使われる曲

モーツァルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」K.618

偽終止の例として音楽理論の教材でしばしば取り上げられる曲です。

❤️ 関連する理論用語

← 理論の用語一覧へ