Cantus firmus
カントゥス・フィルムス(定旋律)
意味
固定された旋律
解説
多声音楽の核となる、既存の聖歌などの旋律。これを土台に、複雑な対位法が編み上げられていきます。
音楽用語辞典 & チューナー・メトロノーム
カントゥス・フィルムス(定旋律)
固定された旋律
多声音楽の核となる、既存の聖歌などの旋律。これを土台に、複雑な対位法が編み上げられていきます。
カントゥス・フィルムスはラテン語で「固定された旋律」。多声音楽の土台として置かれる既存の旋律を指します。
作曲者が新しく旋律を作るのではなく、聖歌や世俗歌曲などの既にある旋律を選び、それを一つの声部に配置して、その周囲に他の声部を作っていく方法です。土台となる旋律は多くの場合、他の声部より長い音価で書かれ、聞き取りやすい形で置かれます。
ルネサンス期のミサ曲では、特定の旋律をカントゥス・フィルムスに用いた作品が多数書かれました。同じ旋律を土台とする作品が複数の作曲家によって作られることもあり、その場合は同じ素材をどう扱うかで手腕が比較されます。ミサ曲の題名に旋律の名が付されているのは、これを示しています。
対位法の教育では、与えられた定旋律に対して声部を付けていく訓練が行われてきました。フックスの教程書『グラドゥス・アド・パルナッスム』で示された段階的な方法(いわゆる厳格対位法)がその代表で、この訓練でも与えられた旋律をカントゥス・フィルムスと呼びます。
合唱
定旋律を歌う声部は、他の声部より長い音価で書かれていることが多く、その音を保ちながらも他の声部の動きに耳を傾け、和声が変わる瞬間を感じ取ることが求められます。
世俗歌曲「武装した人(ラ・オム・アルメ)」に基づくミサ曲群
デュファイ、オケゲム、ジョスカン、パレストリーナら世代を超えた多数の作曲家が同じ旋律を定旋律に用い、40曲以上のミサ曲を書きました。同じ素材の扱い方を比較できる代表例です。