Glitch
グリッチ
意味
マシンのエラーやノイズを用いる手法
解説
CDの音飛びのような「エラー音」をあえてリズムや旋律として扱う、21世紀的な美学です。
音楽用語辞典 & チューナー・メトロノーム
グリッチ
マシンのエラーやノイズを用いる手法
CDの音飛びのような「エラー音」をあえてリズムや旋律として扱う、21世紀的な美学です。
グリッチは、機器のエラーやノイズを音楽の素材として用いる手法です。1990年代以降に用例が増えました。
CDの読み取り不良による音飛び、デジタル処理の破綻音、データの欠損による断裂などは、本来は避けるべき不具合です。この手法では、それらを意図的に生成し、リズムや音色として構成します。技術が完全に機能しないことを前提にした美学であり、忠実な再現を目指す方向とは逆にあります。
lo-fi はアナログ機器の質感(テープのノイズ、レコードの針音)を用いるのに対して、グリッチはデジタル特有の破綻を用います。アナログの不完全さが連続的で温かいものとして受け取られるのに対して、デジタルの破綻は断裂的です。どちらも不完全さを素材とする点は共通しますが、質が異なります。
英語の glitch は電気系統の一時的な異常を指す語で、20世紀半ばから技術用語として使われました。語源については、意味が近いドイツ語やイディッシュ語の語との関連が指摘されていますが、確定していません。
CD・再生機器(素材の生成)
CDの裏面に傷やマーカーで印をつけて再生エラーを起こす手法では、同じ箇所を再現よく反復させられるかどうかが素材として使えるかを左右するため、狙った位置に安定して同じ種類のエラーを起こせるかをあらかじめ確認しておきます。
柳埜靖夫(Yasunao Tone)「傷ついたCDのためのソロ」(1985年)
CDの表面にセロハンテープの切れ端を貼り、エラー訂正機能を過負荷にして音を破綻させる手法を最初期に実践した作品です。この後、オヴァル(マルクス・ポップ)がCD裏面に印をつけて反復するエラーループを作る手法へと発展させました。