🎵 おんがく手帳

音楽用語辞典 & チューナー・メトロノーム

← 辞典にもどる
perd.

Perdendosi

ペルデンドシ

強弱 🌐 イタリア語

意味

消えゆくように

解説

「見失う、道に迷う」が原義。音がぼやけていき、どこへ消えたかわからなくなるような幻想的な効果。

Perdendosi は「消えゆくように」。perdere(失う)の再帰形で、「自らを見失う」が原義です。音量が減るだけでなく、どこへ行ったか分からなくなる状態を求めます。

音量とテンポの両方

この語は音量の減少だけを指すのではなく、テンポの緩みを伴うことが一般的です。減衰しながら進行そのものが失われていく、という二重の動きになります。diminuendo が音量だけの指示であるのに対して、perdendosi は音楽が消散していく過程全体を指します。

演奏上の要点

音量を落とすことと、進行を緩めることを同時に行うため、どちらかだけが進むと不自然になります。また、消えていく過程で音の輪郭まで失うと、単に聞こえなくなっただけになります。音の質を保ったまま量と速さが減っていくと、遠ざかっていくように聞こえます。最後がどこで終わったか分からない状態が目的なので、はっきり切って終わらないことが重要です。

曲の終わりとは限らない

グローヴの音楽辞典は perdendosi を、楽章や楽章内の区間の終わりに置かれる指示だと説明しています。ただし曲や楽章の最後に限られるわけではなく、ショパンのポロネーズ作品40の第2番では、第1主題に戻る直前に置かれています。消えていく先が終止ではなく、主題の再登場であるという点で、終わりの perdendosi とは扱いが変わります。

同じ語根の指示

同じ perdere から作られた perdendo(失いながら)という形もあります。ベートーヴェンは交響曲第4番の緩徐楽章で sempre perdendo(常に失いながら)、ピアノソナタ作品110の第3楽章で perdendo le forze, dolente(力を失って、悲しげに)と書いています。perdendosi が「自らを見失う」という再帰形であるのに対して、perdendo は「失っていく」という進行の形です。

演奏のヒント

ピアノ

減衰は自然に起こるため、弾き終わりの処理が要点になります。打鍵を少しずつ弱めながらテンポを緩め、ペダルの替え時に残響が濁らないようにして、最後の音で急に途切れさせません。

弦楽器

弓の圧と使う量を少しずつ減らし、テンポの緩みと同時に進めます。圧を抜きすぎると音がかすれて輪郭が失われるため、消える直前まで音色を保ちます。

管楽器・声楽

息の量を減らしても支えは保ちます。支えが抜けると音程が下がり、消えるのではなく崩れて聞こえます。

混同しやすい用語

この指示が使われる曲

ウェーバー ピアノソナタ ハ長調 作品24 緩徐楽章

Perdendosi が使われている例として、グローヴの音楽辞典が挙げる(同辞典によればウェーバーはこの語を頻繁に使う)。

ショパン ポロネーズ 作品40の第2番

第1主題に戻る直前に perdendosi が置かれている(グローヴの音楽辞典が挙げる例)。

ベートーヴェン ピアノソナタ 作品110 第3楽章

「perdendo le forze, dolente」の指示がある。perdendosi ではなく同じ語根の perdendo の形(グローヴの音楽辞典が挙げる例)。

❤️ 関連する強弱用語

← 強弱の用語一覧へ